Interview with Ureyu (½)
8 Bit Punksの雄、Ureyuインタビュー(前編)
先月、我がTEBRから「Final Subcontract」をリリースしたUreyuさんのインタビューを行いましたので掲載いたします。
Ureyuさんは、"チップチューン"といわれる、ファミコン(NES)やゲームボーイなどのゲーム機を音源として使用して制作される大変変わった音楽を表現されているミュージシャンであります。
前編ではまず、「チップチューン」とはどんな音楽なのかを中心にお話を伺います。
(インタビュアー、文 / STX)
Q.
ureyuさんは、くくりとしては、「チップチューン」のアーティストでいらっしゃるかと思うのですが、ご自身としてはどんな音楽家であると思いますか?
(またはどのようにありたいとい思われておられますか?)
A.
もともとはただの聴き専だったので、自分が聴きたい曲を作りたいなーって思って作り始めました。
エレクトロニカやローテクな音楽が好きで、初めて聞いたchiptuneはcowpのAfricaでした。で、myspaceが全盛だった頃にchiptuneを大量に聴いてたら聴き過ぎて飽きちゃって。そんで、もっと別の聴きたいなーと思って自分で自分が聴きたい曲を作り始めました。
だから、自分が聴いていい感じになれる曲を作ってます。でも、ライブするようになってフロアを意識した曲作るようになってます。
Q.
「チップチューン」とは、そもそもどんな音楽なのでしょうか。
また、音楽ジャンルそのものについてはどのような歴史があり、現在までにどのような変遷があったのか、簡単にレクチャーしていだけませんか?
A.
chiptuneはざっくりいうと、ゲーム機の音源チップを使って音楽をやることだと思います。
amigaやコモドール64、MSX、ファミコンとか。
でも、実機を使わなくてもゲームっぽい音で曲を作ってもchiptuneだし、いろんな解釈があると思います。要はゲームっぽい音使ってればchiptuneなんじゃないかな。
で、歴史というと誰が最初にとかはちょっとわかりませんが、chiptuneが広まっていったのは8bitpeoplesというレーベルの存在が大きかったんじゃないかと思います。
http://www.8bitpeoples.com/
音源は全部フリーで、かなりの数のリリースもあって、全部ダウンロードして聞きまくってました。
あとは、日本でvorcというhallyさんたちがやってたレーベルがありますね。
http://www.vorc.org/
いまは休止となっていますが、chiptuneの日本の窓口みたいなサイトだったと聞きます。
アーティストについては、いろんなジャンルをやる人がいますね。
懐かしいメロディでゲーム音楽っぽいのをやる人や、4つ打ちのテクノだったり、トランスだったりブレイクコアだったり。
chiptuneと呼ばれるものは手段に制限はあるけど、ジャンルに縛りはないですから。
ちなみに、機材はゲームボーイだとnanoloopかLSDjというソフトが主流です。nanoloopはiphoneアプリにもなってますね。
8bitpeoples主催のnullsleepやbit shifterは懐かしいゲーム音楽っぽくて懐かしい感じです。
Nullsleep - Unconditional Acceleration (Full Album) Chiptune
https://www.youtube.com/watch?v=LPhKOMYeKpI
Bit Shifter - The Information Chase (Full Album) Chiptune
https://www.youtube.com/watch?v=gAFI0rWa8po
個人的には激しいのが好きで、chiptune×breakcoreのチップブレイクが好きでした。
SabrepulseやDJ Scotch Egg、saskrotchが勢いありました。
Sabrepulse - Horizon
https://www.youtube.com/watch?v=5zcUfjg4zBI
DJ Scotch Egg - Gameboy orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=yRCdalqoa50
saskrotch - END CREDITS
https://www.youtube.com/watch?v=Rlj_eIR9WjM
SabrepulseのHorizonは日本人のXinonという方のremix曲で、原曲も最高です。
Xinon - Horizon
https://www.youtube.com/watch?v=1YDs7L3g0JQ
DJ Scotch EggはAD AAD ATというレーベルから出してて、ここから19-tのshexやCow'pも出してました。
Cow'p - africa
http://web.19-t.com/#artist_Cow%27p_releases
あとは、チップブレイクでブレイクコアレーベルから出してるca5も哀愁もあってめちゃ良いです。
Ca5- Memory Of The Cartridge
https://www.youtube.com/watch?v=Cp1aYoo63OQ
カバーですが、これも相当良かったです。
ピコブロックの256連射
http://hujikopro.xrea.jp/pikoalbum/index.html
V.D+ - Form of destruction 2 vd01
https://soundcloud.com/v-d-1/form-of-destruction-2-vd01
戦隊ものっぽくてこれもめちゃかっこよかった。
あとは、イベントのことですが、関東ではLo-bit Playground、関西だと1H1D、九州だと辻テクノというのがありました。
Lo-bit Playgroundでは、Saitone、Quarta 330を中心にいろんなchiptuneアーティストを呼んでやっていました。
Quarta 330はhyperdubに所属してることで有名ですね。saitoneはchiptuneの枠にとらわれない複雑な曲作りです。
Quarta 330 - Sunset Dub
https://www.youtube.com/watch?v=tjBOqPDXEog&index=2&list=PL94D871AE752338D0
Saitone - Overlapping Spiral (dir: VJ Reel)
http://m.youtube.com/watch?v=2N6PoV42-jo
辻テクノのmaruとUSKのユニットPortalenzの動画は何度も繰り返し見たし、当時、都内にUSKがくるときはいつも遊び行ってました。
Portalenz :: Live@chipstriker!!@TRIANGLE
https://www.youtube.com/watch?v=g9PyickhNrM
と、いうのが2007年前後くらいの話で、その後はヒゲドライバーとYMCKが広い層にめちゃ売れたというやんわりとした情報しか知らないです。そのあたりで自分で曲作るようになって、そのまま3年くらいはchiptuneをあまり聞かなくなりました。
いまはNNNNNNNNNNやgigandect、storzのようなベースが聴いた感じが人気のようです。あと京都の女子大生、TORIENAもすごい勢いですね。最近のchiptune、特にLSDjの使い方だとダブステっぽいワブルベースみたいな音使いが多いですね。
NNNNNNNNNN - Cheapbeats 8
https://www.youtube.com/watch?v=jrASe87-2-Y
gigandect - divorce
https://www.youtube.com/watch?v=wZA62zW-V-Q
TORIENA - Chocoholic girl “s” pye
https://www.youtube.com/watch?v=PCoLNuG5s88
あと、YMCK, Hally, ヒゲドライバーによってchiptuneのポータルサイトが新しくできたようです。
http://chip-union.net/
いまの海外chiptuneシーンもめちゃ盛り上がってるはずなんだけど、日本勢で満足しちゃってる感じでさっぱりわかりません。
とにかく、これからもいろんな作風の人がどんどん出てくるといいと思います。
(前編終わり)