川崎市議会は12月6日、文教常任委員会を開き、ヘイトスピーチを繰り返した人物に刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(案)」の審議を行いました。
審議では、自民党が市民へのていねいな説明や十分な議論を求める理由で、3月議会への継続審議を求める意見表明をし、チーム無所属(会派名)も同様の意見表明をしました。共産党、公明党、みらいは、早期の条例制定が必要である地域の実情を鑑みて、今議会での採択を求めました。これを受け自民党は、市民への周知徹底に加え「日本国民への差別的言動が認められる場合、条例の罰則の改正も含め必要な施策、措置を講ずる」(2項)との文言を盛り込んだ付帯決議(案)を提出しました。
この付帯決議(案)に他会派は、「条例案の基となった国のヘイトスピーチ解消法に『日本国民への差別的言動』は含まれない。削除すべきだ」(共産)、「解消法から逸脱しており到底受け入れられない。法改正なしに『罰則の改正』など条例でできるはずがない」(公明)、「解消法の付帯決議と同様のものなら許容範囲だが、現状の案では賛成できない」(みらい)など反対を表明。各会派は持ち帰り検討することとなり、委員会採決は週明けの月曜9日に持ち越しとなりました。
[報道:神奈川新聞] https://www.kanaloco.jp/article/entry-213635.html
自民党の附帯決議(案)について、特に第2項の後半部は容認できません(添付画像下線部)
理由として、「刑事規制が必要なほど外国にルーツがある人たちへのヘイトスピーチがある」などと自民党自身が条例の立法事実を示してきたのに、、突然『日本国民たる市民に対しても不当な差別的言動が認められる場合』に《罰則の改正》を主張し出すことは、これまでの審議に照らしても矛盾しています。
『日本国民たる市民に対する不当な差別的言動』については、具体的な主張も論証も一切なされていません。仮にあったとしても到底、刑事罰をもって規制するほどの深刻な立法事実は存在していません。
国のヘイトスピーチ解消法の審議過程で付された付帯決議の本来の意味は、条文にあった「適法居住要件」を外すべきという強い意見があったものの自民党が難色を示し、条文には残ることとなったものの付帯決議で“在留資格の有無にかかわらず”、また審議中に具体的にあったアイヌ民族への、排斥の扇動や不当な差別は許されないとする趣旨です。
それに対して、今回提案された自民党の2項では、ヘイトスピーチ解消法・附帯決議の本来の趣旨である、オーバーステイ滞在者のことは排除され、突然「日本国民たる市民」が対象となっており、アイヌ民族など日本国籍をもつ社会的少数者のことも念頭にありません。なんら具体的な立法事実も示されていないところで、自民党案のような「必要な施策及び措置を講ずる」というのはヘイトスピーチ解消法からの逸脱がありすぎます。
今回、自民党から提案された付帯決議(案)がもっとも適当であるには、元々あるヘイトスピーチ解消法の付帯決議をそのまま使うことです。これは国会で自民党も含めて全会一致で採択されたものであり、川崎の条例(案)もヘイトスピーチ解消法4条2項に基づくものだからです。せっかくの付帯決議ですから、その意義が発揮されるよう私たちは自民党提案の2項を以下のように国の法律に即し、見直すことを求めます。
▽▽▽ヘイトスピーチ解消法第2条が規定する「本邦外出身者に対する不当な差別激言動」以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり、同法の趣旨、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処すること。▽▽▽
週明け9日の委員会審議再開まで時間がありません。自民党川崎市議団には「『日本国民たる市民』一般に対する不当な差別的言動という立法事実はない」ことと「付帯決議(案)第2項を削除し、上記のような趣旨で見直すよう」求める意見をこの週末に送りましょう。
◆自民党川崎市議団
FAX 044-245-4132
意見フォーム http://xn–n5qu8klzfwxalfk44fu48ao6p.jp/contact.html
また、共産党、公明党、みらい、チーム無所属には、これまで地域で繰り返されてきた人権被害を一刻も早く止めるため、12月議会での成立が切望されていることを伝え、付帯決議の修正要請など激励や応援の意見を送ってくださるようお願いいたします。
◇共産党川崎市議団
意見フォーム http://www.jcp-kawasaki.gr.jp/_03
FAX 044-245-4140
◇公明党川崎市議団
意見フォーム https://komei-kawasaki.com/inquiry/
FAX 044-245-4137
◇みらい川崎市議団
意見フォーム http://minshin-kawasaki.jp/demand/
FAX 044-245-4135
◇チーム無所属
FAX 044-330-1563