福田は「歴史意識の『古層』」に代表される後期の丸山の問題意識を知らなかったようだが、彼の丸山(に代表される進歩的知識人)批判は、そのレベルに達している。日本の伝統は、丸山の考えるように外在的な秩序として人々を抑圧するものではなく、日常生活から紡ぎ出される言葉によって支えられているのであり、それを政治的な「改革」によって変えようという試みは挫折せざるをえない――という福田の批判は現実には勝利した。
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