いまカウンセリングに通う人がたくさんいますけど、そのほとんどが人間関係で痛めつけられた人ですよね。
人間関係で傷つくというのは、たいていの場合、生命力を奪ってしまうようなタイプの人の傍にいるからです。
そういう人って、実際にいるわけですよ。善悪とかかわりなく、ネガティブなオーラを出している人って。
本人は自分のことを思いやりのある善意の人だと思っているんだけれど、その人のそばにいるとこちらの生命力がゆっくり損なわれてゆくような人って。
身体感受性が鈍い人にはそれがわからない。
だから「その人のそばからそっと逃げ出す」というオプションを思いつかない。
そういうネガティブな人って、口で言っていることは語義レベルではまともだし、つじつまがあっているし、本人も「あなたのことを考えている」とか「あなたのために言うのよ」というふうに言うので、どうしても「わるい人」のようには思えない。
でも、そういう人のそばにいて、その人の言葉をずっと聞かされている内に、聞く方がどんどん衰弱していく。そういうこわいコミュニケーションってあるでしょう。
そういう人は言語的なメッセージのレベルとは違う身体的なレベルで「俺はお前をコントロールする。
俺はおまえの生命力を低下させて私の支配下におく」というメッセージを出しているんです。
ただし、それは非言語的なメッセージですから、言葉を聞いているだけじゃわからない。
それを感受するには身体感受性が鋭敏じゃないと無理なんです。
でも、そういう能力を育てる訓練は今の教育システムの中ではどこでもなされていない。
だから、生きる意欲そのものを失わせるような不愉快で不快な人間関係の中に平然ととどまって、結果的に精神が痛んでしまうんです。(P.35)
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『身体知 ~身体が教えてくれること~』 内田樹 × 三砂ちづる
しはいかにおく ということは
あいてをそこなう ということだ
これ、とっても良く分かる。逃げられたって感じたら、その憎悪心からか酷い仕打ちを返してくる人もいたっけな。
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