"前川さんは86年3月に市営団地で中学3年の女子生徒=当時(15)=を殺害した容疑で逮捕された。90年の一審福井地裁判決で無罪となったが、名古屋高裁金沢支部で逆転有罪判決を受け、97年に確定した。

 逮捕は87年の3月。21歳のときだった。前川さんは当時を「地元の不良仲間と非行を繰り返す日々だった」と振り返る。生活を立て直そうと東京に向かう直前、市内で任意同行を求められ、警察に連行された。「有無を言わせない様子だったが、事件が起きたこともはっきりとは頭になかった。突然で何の話か分からなかった」と明かす。

 取り調べでは、事件当日の夜、血の付いた姿を見たと先輩が証言していると刑事に聞かされた。「けんかをして服に血を付けたことはあったが、事件より1カ月も後のことでやっぱりおかしい」と憤る。「やっていない。被害者と会ったこともない」。訴えは聞き入れられず、「おまえは殺人者や」と何度も刑事に怒鳴られたが、否認を通した。「楽になりたいと思ったときはありました。でも家族のことを思って耐えた」と打ち明けた。

 控訴審では、前川さんが関与したとする捜査段階の知人の証言が採用された。「ひどいもんです。何もかもうそ。警察が正義だなんてあきれる」

 服役中に精神のバランスを崩し、今も富山県の病院に入院中。最近は体調が良い日は福井に帰ることもあり、自活をして社会復帰にも
備えている。「家族にも迷惑をかけたが、無罪を勝ち取るまで頑張る。絶対に大丈夫です」。落ち着いた表情で自分に言い聞かせるように語った。"

前川さん「無罪まで頑張る」 福井女子中生殺人、再審可否へ 社会 福井のニュース :福井新聞

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