このマンガが(象ラジオ的に)すごかった!2014

我々、象の小規模なラジオは「音楽を“中心”にみなさんに新たな出会いを提供する」番組を謳いながらも、音楽以外のものを紹介できていない…ということでやります。このマンガが(象ラジオ的に)すごかった!2014。昨年は量だけならレコードの新譜と同じくらいの新刊コミックを楽しんだ年でした。13年分は成川の年間ベスト投稿でおまけ的にリストを掲載したのみでしたが、今回はやなはると共に象ラジオの年間ベストコミックベスト10を選んでみました。


1. 『子供はわかってあげない(上)』『(下)』田島列島 (講談社:モ-ニングKC )

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高校2年生の水泳部員サクタさんと書道部員もじ君の一夏の甘酸っぱい冒険を描いた作者初の長編。瑞々しさに胸いっぱいですよ。コマの運びからセリフ選びまで毎ページ唸される細部の豊かさが、ノスタルジーを伴った夏のあの感覚を再構築していくような。子供の頃、夏休みに児童文学を読みふけっていた時の気持ちを思い出します。物語は超能力や新興宗教、水泳、書道、父探しと様々な要素が詰め込まれながらもそれらの要素は繋がっていき、最高のボーイ・ミーツ・ガールに帰結。終盤の屋上でのやりとりは漫画史に残るであろう名シーンで、最初に読んだ時は電車内にもかかわらずボロ泣きでした。

少年少女の物語と夏という季節の親和性は言うまでもありませんが、大人たちが役割をきちんとこなしているのもいいのです。この作品を傑作たらしめているのは“ミーツ”の部分、少年少女だけではない人と人との繋がりのあり方ではないでしょうか。『子供はわかってあげない』というタイトルですが、高校生ということを忘れそうなくらいの純真性をもつ主人公二人はとても聞き分けのいい子供として描かれます。それが物語が進むにつれ、わかって“あげない”という自発的な、自らの気持ちに正直に動くようになっていく。大人が子供はわがままでいいと教えてくれ、それを許容する。そんな構造を知ることで、二人は少し成長していきます。教わったもの・もらったものをまた他の誰かへと、随所に繋げていくことについてのエピソードが散りばめられた物語は、“伝える”という行為への信頼に溢れ、いつの間にか自分も前を向かされています。

僕含めこの漫画を好きになる人は、きっと伝えたい気持ちをうまく表現できない人が多いことだと思いますが、作中である感情が“暴れ馬”として具現化し主人公に語るように、先人たちが編み出したシンプルな方法を受け継いでいこうじゃないですか。これはイイものでした。折りにふれて読んでは涙する作品となりそうです。〔成川〕


2.『町でうわさの天狗の子 (12)※完結』 岩本ナオ (小学館:フラワーCアルファ)

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月刊フラワーズで6年半の連載を経た『町でうわさの天狗の子』がついに完結。主人公の秋姫は天狗の父と人間の母のハーフ。トラックを軽々と持ち上げられるくらい力持ちなことと、ちょっと大食いなのをのぞけばごく普通の女の子。いや、全然普通ではないのだけど登場人物はみなそれを受け入れている。お父さんである天狗も普通に出てくるし、天狗の眷属として修行する動物たちは人と獣の姿を自由に行き来し、秋姫の同級生と色恋沙汰まである世界。読者もすぐにこのすこしふしぎな世界を受け入れ、その他の少女漫画よりよっぽどこの世界をリアルに感じれてしまう岩本ナオの手腕ったら!少ない線でニュアンスを伝えるのが上手い絵柄と、説得力ある日常を形作る会話の素晴らしさは、漫画を読む喜びを再確認させてくれます。

天狗になりたくないという秋姫はなにより「普通」でないことにコンプレックスを持っており、その秋姫が渇望するクラスメイトとの日常は女子にとってのイベントで溢れ、魅力的なダイアログにより思わず女子目線になってしまいそうなほどの輝きを放っています。そして物語が進むにつれ書き込みの少ないモブたちまでキャラ立ちをし、ファンタジー色を強めていく物語と比例してその輝きを増す日常風景。最後の戦い(そういう要素もあるんです)の前に交わされる言葉が、「企画中のスケート今年もみんなでいきましょう」「また月曜日な」ですよ。しかも月曜日の方は僕もすぐに名前が出てこないモブキャラによるもの。岩本ナオのこの世界全体への愛の深さよ。大小さまざまな思いが報われていく様に、自分自身も救われるような気持ちになる方も多いはずです。

最後にはコミック12冊分待ちに待ちに待った言葉が聞けて、そうだ、少女漫画を読んでいたんだ!!と思わせてくれる最高の終わり方でした。特別であることの孤独に居心地の悪い思いをしてきて、ただ「いつも誰かが私のこと好きになってくれたらいいのにって思って」きた秋姫が、一言ですべて報われてしまうカタルシス。素晴らしかった。名残惜しくてもうコミック一冊分くらいのスピンオフが読みたい。もっと三郎坊と赤沢ちゃんのエピソードをください!〔成川〕


3.『流れ星レンズ(10)※完結』村田真優(集英社:りぼんマスコットコミックス)

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相手を真に思いやる、というのは大人になっても本当に難しくて、ましてや今作が連載された『りぼん』の読者であるような女の子たちは、会いたいときに会えないさみしさだとか、大好きな人とすべてを共有できないことのつらさだとかに、これから初めて恋をしたときに、きっと一度はぶつかるはず。そんな風に、自分の感情にひっぱられて相手を傷つけそうになったとき、大事な人に優しくできなくなったときに思い出してほしい、自分も読み返したいと思う作品です。

中学2年生、地味で恋愛に疎い主人公・花籠凛咲ちゃんが、学校一のイケメン・夕暮統牙くんと付き合うことになり…という、少女漫画の王道ストーリー。第三話で両想いになった後は、初めて同士の交際の様子がゆっくりゆっくり(3年半の連載で、約半年しか進まない!)描かれます。ただ実際のところ、「地味な主人公女子×イケメン男子」という記号はまったく意味をなしません。花籠さんの、ネガティブな感情やトラブルにぶつかったときに、正しく相手のことを思いやった行動を選ぶ姿や、飛び出す奇跡のような台詞の数々には、読み手のこちらも大事なことに沢山気付かされ、感動させられてばかり。夕暮くんだけでなく、周りの友達や親とのやりとりの中でも、花籠さんが当然のように差し出す「優しい何か」が、現実ではとても得難いものであるということは、きっと大人のほうが身に沁みて分かるはず。学校中の人気者の夕暮くんが、他の誰でもなく花籠さんを選んだ理由が、読者にもきちんと伝わってきます。

初デートでの悩みや、初めての学校行事でのトラブル、ライバルの登場などなど、ひとつひとつに花籠さんが出す結論のどれもが素晴らしいのですが、特に印象深いのは、夕暮くんの悲しい過去を凛咲が知ることになる、5巻から6巻にかけてのエピソード。私もかつて同様の経験をしたのですが、そのときのやるせなさを見事に表現したモノローグやセリフに、当時の自分の感情も一緒に掬い上げてもらったような感覚でした。もうどうしようもないことと、その上で何が出来るのかということを、完璧な形で描いたこのエピソードで、自分にとって今作が決定的に心の作品になったように思います。また、ここで1巻の伏線回収のような場面もあるので、とにかく6巻までは読んでみてもらえたら幸いです。

『りぼん』での連載ということで、小学生女子がきちんと憧れるようなシチュエーションや、見開きの画面の華やかな使い方など、少女漫画らしい魅力もばっちり押さえていますので、これを読んだ女の子たちがみんな「凛咲ちゃんみたいになりたい」と思ってくれたらいいなあと、そう願わずにはいられません。完結の仕方は不本意なものでしたが、この作品をきっかけに十数年ぶりに“りぼんっ子”に舞い戻り、毎月じんわりと泣かされた3年間が、自分にとっては本当に大事な時間でした。「このマンガがすごい!」などの賞レースとは無縁ではありましたが、もしもいつか自分に娘が出来たならきっと読ませたい、名作&名ヒロインです。〔やなはる〕


4.『パレードはどこへ行くの?』鈴木志保(秋田書店:ミステリーボニータ)

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地球の記憶を見ている感覚、人間も動物も植物も、過去も未来も、ぜんぶがひとつで、だから寂しくないという感覚。自分にとってはすばらしい音楽もそういう感覚を味わせてくれるものなのですが、漫画でそれを感じるのは鈴木志保さんだけかもしれません。その世界観は、代表作であり大名作「船を建てる」と通じるSF的なものですが、今作は一匹一匹の動物たちのキュートな所作や、オオカミのイケメンっぷりといったわかりやすい楽しみどころも多いので、鈴木志保作品を初めて読む方にもすすめたい一冊。漫画の白黒表現を最も意識させられる漫画家さんでもあります。ちなみにグレンスミスの「はじめてのぼうけん」という楽曲は、今作のテーマソングにしたいくらいぴったり!〔やなはる〕


5.『STAYGOLD』秀良子(一迅社:gateauコミックス)

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主人公・優士が共に暮らす血のつながらない甥・駿人から突然恋心を打ち明けられて…という騒動に始まって、優士の弟・コウ、姪の菊花という両親不在の4人暮らしを中心に、コウに片思いする友人(男)や駿人に片思いするクラスメート(女)まで、さまざまな人物の目線や心情を交えて描く群像劇。それぞれがそれぞれのコンプレックスを抱え、自分の感情をどう取り扱っていいか分からず思い悩む中、一方的だと思っていた視線がふと交わった一瞬で、それまでのぜんぶが報われるような気持ちになったりだとか、逆にちょっとしたことで過去のトラウマに飲み込まれそうになったりだとか…。そういう明暗の切り替わる瞬間が、基本的には穏やかな日常の中に描かれることで、ぐぐっと身に沁みて感じられます。優しい絵柄やユーモアがちりばめられた会話もチャーミング。秀良子さんの作品には身に覚えのある感情を的確に表すモノローグがいっぱいあって、特に『リンゴに蜂蜜』はBL作品ながら個人的に最も共感できる恋愛漫画No.1なのですが、今作は例えばよしながふみ『フラワー・オブ・ライフ』のように、BL作家の域を超えた名作になるだろうことを確信する第1巻です。〔やなはる〕


6.『アンの世界地図~It’s a small world~(1)』『(2)』吟鳥子(秋田書店:ボニータ・コミックス)

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アル中の母親に大事なお洋服を破られたことをきっかけに、東京の家を飛び出した16歳のアンは、祖母が住むはずの徳島で偶然出会った着物の美少女・アキと共に二人暮らしを始める…というあらすじとジャケットで購入を決めた今作。ロリータと日本人形が並んでるような二人ですから、表紙の淡い色合いから想像するより画面は濃かったのですが(笑)、ジャケ買いは大成功でした! 四季や礼節を大事に暮らすアキと、ドレスとカラコンを戦闘服にするアンは、少々ベクトルは違えど二人とも「誇り」を大事に生きています。知らないことも多いけどまっすぐ汚れなく育ってきたアン、そんなアンに「やさしい言葉でものを教えて」あげるアキ、そしてアキが教えてくれるもの、与えてくれるもののひとつひとつに、驚いたり笑ったりめいっぱい喜んだりするアン、そんなアンの姿に微笑むアキ……という、二人の間をあたたかいものが何度も何度も行き来する様子がじんわりと心に沁み、読んだ後は言葉遣いが少し丁寧になるかも(笑)。一見いじわるそうに見えるアキの幼馴染・キヨ兄も、どうやらアキにも、育った家庭に理由がありそう。そんなみんなが他人同士だけれども家族のように付き合っている、というのもグッとくるポイントです。ボードゲームやドイツ兵の幽霊など、一瞬びっくりするアイテムも徐々に出てくるのですが(笑)、作者の「これが描きたい!」がいっぱい詰まった作品なんだろうと思います。アンの今後の成長、そして怪しげに描かれるアキの正体も楽しみ!〔やなはる〕


7.『餅巣菓さんに呼ばれる』イシデ電(集英社:ヤングジャンプコミックス)

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“地下牢を脱出してから3年”という謎の設定を持つ事務員餅巣菓さんを主人公に、彼女が好意を寄せているらしい(本人が恋愛感情というものを認めない)香田くんとの恋愛が描かれた1巻完結の作品。恋愛ものが苦手な作者が考える“一番かわいい女の子”だという餅巣菓さんに惹かれるか否かで、この作品への評価が決まってしまいそうですが、個人的には恋愛漫画として上に並ぶ作品群に匹敵する出来で、エモさでは2014年断トツです。少女漫画でも読めない初期衝動の暴走っぷり。ひさしぶりに、いや初めて“萌え”という感覚を味わったかもしれない。最初は、何を考えているかわからないけれど愛らしい餅巣菓さんから好かれる感じを味わえ、「香田この野郎!」となったあとはひたむきに恋をする餅巣菓さんの姿の可愛らしさに悶えます。先述の突飛な設定含め作中様々な漫画的表現が駆使されるので、リアルに感じられないという方もいるかもしれませんが、それらと餅巣菓さんというプリミティブなキャラクターのおかげで、鼻白むことなく恋愛漫画のエモーショナルな部分を楽しめるのではないでしょうか。作者のように恋愛ものが苦手な方にもぜひ手に取ってほしい。〔成川〕


8.『夜とコンクリート』町田 洋 (祥伝社)

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秋は“深まり”、冬を“越し”、春は“訪れ”、夏は“終わって”いく。過ぎていく季節の中で夏だけが期間の終わりと共に語られ、寂しさを伴った感覚として記憶される。シンプルな描線で日常とSFを優しく融和させる町田洋の、前作『惑星9の休日』に続いての素晴らしいこの短篇集も夏の終わりのあの寂しさを強烈に喚起させる作品です。M・コーニイの『ハローサマー、グッドバイ』などの傑作SF小説と並んで夏の訪れと共に読みたくなる作品で、タイプは違えど、1位に挙げた『子供はわかってあげない』もそうです。ノスタルジーに浸りがちなおっさんは夏の匂いに吸い寄せられるのかもしれない。

細やかな会話でリズムが作られる『子供はわかってあげない』とは対照的に、こちらは無音のコマによる間の取り方が作品全体のテンポを形作っていきます。簡素な風景が雄弁に登場人物の感情を表現していきますが、言葉少ない作品の中で溜めに溜めて挿入されるモノローグもまた素晴らしい。

駅への近道、公園の中を歩き始めたあたりから
自分が今悲しんでいるということに気付いた

それでも
 

友人のあの言葉はあの時代の友人の真実だった
俺のあの気持ちはあの時代の俺の真実だった

寡黙でありながらその十分な余白が遠い記憶をイメージさせ、この静かな夢の中にいつまでも浸っていたくなる。タイムマシンのようなこの漫画は、それ故にこれからも何度も手を伸ばすだろう大切な一冊です。〔成川〕


9.『甘々と稲妻 (2)』『(3)』雨隠ギド(講談社:アフタヌーンKC)

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妻を亡くした高校教師犬塚と5歳の娘つむぎ、そして多忙な母に代わり小料理屋を守る教え子の女子高生小鳥という3人によるお料理マンガ。全員が料理下手なこの漫画では何を食べるかよりも、誰と食べるか・どんな感情と共に食べるかが描かれています。作品を彩るのは3人が懸命に作ってそれを美味しそうに食べる様。「いっしょに食べることがうれしい」という感情から始まった空間は読んででとても心地よく、表情はもちろんですが視線の交錯など小さな仕草にグッときてしまいます。憧憬ですね。

これだけだと(先生+幼女+女子高生)×料理な、ただの萌えテンコ盛り漫画かと思われてしまうかもしれないですが、この物語の底流にあるのは母親の不在。最新の3巻では犬塚の妻が残したレシピを再現をするという、父子が彼女の不在を再確認せざるを得ないエピソードがあり、これまで見たことのないつむぎの表情に切なくなります。悲しみも喜びもぜんぶ食卓に。他にも小鳥が望んでいた母とのふれあいや、3人の交流が永遠でないことを意識させる場面もあり、家族の物語として一気に深みが増す巻なのでここまではぜひ読んでみてもらいたい!〔成川〕


10.『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部共実(秋田書店:少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)

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私が人生のテーマとしている言葉のひとつに「それって本当に俺が全部悪いの?」(大山典宏『生活保護vsワーキングプア 若者に広がる貧困』(PHP新書)より)というのがあるのですが、表紙には描かれないもうひとりの主人公・ナツもきっと同じことを思っている。運命から逃れられない私たちが今まで何度も出くわしては、どんな顔をしていいか分からずに見過ごしてきたディスコミュニケーションの瞬間を、ナツのように現実なら無視されてしまう程度のものまで、忠実に(しかも女子で)描いてくれる作品が存在すること自体がすばらしいと素直に思う。より多くの人に読んで欲しいし、読んでもさっぱり伝わらない人がきっと沢山いるんだけれど、その構図そのものが漫画の中に描かれてしまっているのだから最強だ。加えて阿部共実の漫画が好きなのは、ちーちゃんの家族は絶対にちーちゃんを嫌いにならないし、ちーちゃんがナツを嫌いになることも絶対ない、と思える部分。別の作品になるけれど、「おねがいだから死んでくれ」の主人公には、描いた漫画を手放しに褒めてくれるお母さんがいるから、運命に立ち向かおうとすることができた。ディスコミュニケーションが起こるということは、自分以外の人間がいるということで、だとしたら私たちはそこに希望を持ち続けずにはいられないのだと思う。〔やなはる〕


いかがでしたでしょうか。順位含めすんなりと決まった10作品。派手さはありませんが、漫画を読む喜びをしみじみと感じられる作品が並んだと思います。ばらばらの掲載誌の中で、唯一の複数ランクインとなったのが秋田書店のミステリーボニータという意外な結果に。ボニータは他にも、奈々巻かなこ『イーフィの植物図鑑』や梅田阿比『クジラの子らは砂上に歌う』など良作も多くうれしい驚きでした。クジラの子~は女性漫画雑誌では久しぶりの本格ファンタジーで、アニメ化も時間の問題に思える期待作!ベスト10作品に関してはネタバレしない程度に短い(それでも音楽部門より長い)紹介文を添えさせてもらったので、ここではその他惜しくもベスト10には入らなかった作品をいくつか紹介しておこうと思います。

まず別冊マーガレット連載(先日完結)の渡辺カナ『ステラとミルフイユ』。これは完結した2位3位のふたつを除けば、去年の胸キュン少女漫画大賞です。主人公の男子高校生銀河は、7位に選んだ餅巣菓さんと並ぶ熱さの恋愛初心者キャラで、最後までどちらをランクインさせるか迷いました。他にも昨年はおもしろい少女漫画が多かったのですが、『流れ星レンズ』はじめ『このマンガがすごい!』などにはかすりもしない寂しさ。少年少女が読むべきマンガが少なめな印象を受けた賞レースでした。少女漫画だと他には、12月発売の持田あき『おもいで金平糖』3巻も素晴らしかったです。時間を遡れるという金平糖を題材にしたオムニバスシリーズで、今まででも屈指のエピソードが収録され読み応えがありました。そして、まだ店頭に並んでいるはずの『冬の大増刊号りぼんスペシャル』にも、持田あきの魅力が凝縮された読み切り「バイマイミスター」が掲載されているのでとにかくそれを読んで貰いたいです。が、史上最厚を謳う1100ページ超のりぼん増刊はかなりハードル高めかもしれませんね。単行本に収録されるのが待ち遠しい!

少女漫画以外では、水と墨汁と爪楊枝で描く森泉岳土さんの技法だけではないセンスにも驚かされましたし、宮崎夏次系『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』、三島芳治『レストー夫人』、サワミソノ『ちちゃこい日記』 などなど挙げていくとキリがないくらい良いマンガがたくさん読めて幸せでした。

そんな中から選んだ10作品、どれを読んでもハズレなしと思いますので少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。〔成川〕

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