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「日本最南端の心臓外科医日記」

@yamauchi-akihiko / yamauchi-akihiko.tumblr.com

皆さんこんにちは。国内最南端の心臓血管外科施設にて日々奮闘している一心臓外科医です。最南端から日本・世界を見据えて患者さんの幸せを考え情報発信をします。心臓外科医の日常やうちなーライフについても紹介したいと思います。よろしくお願い致します。尚このサイトは個人の見解を表すものであり職場や団体の理念・方針を示すものではありません。
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2024年問題 地域医療守る 医師の働き方改革(沖縄テレビ)2024/4/4

 変化に対応できない組織は淘汰されるだろうという危機感と、確かに我々が極限まで仕事に没頭している感は昔から否めませんので様々なことを試しながら今に至っております。まだまだ改善の余地は山積みですがひとつひとつ向き合っていきたいと思います。

Source: youtube.com
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術後在院6.3日

ロボット支援下僧帽弁形成術の開始から10ヶ月が経過しました。この間15名の患者さんにこの手術を行っておりますが術後在院日数をグラフにしてみました。4番目の患者さんは術後にコロナ罹患されたのでコロナ治療のため入院期間を要しました。ただ、この方を除いた14名の方の平均術後在院は6.3日であります。全例、治療目的は達成しており(有意な残存逆流なし)、自宅退院となりました。術後運動制限はなく(車の運転可能、上半身の運動制限なし)、創部痛も従来の手術より軽減され社会復帰がより早期となっております。このような手術は患者さんにとっても我々医療従事者にとっても大きな利点があります。特に来月から始まる「医師の働き方改革」においては医師の仕事ができる総時間は限られます。その限られた時間の中で多くの患者さん方と接するには術後在院日数の軽減は重要なこととなります。新たな気持ちで新年度を迎えたいと考えております。

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忘れられぬ味

誰にでも懐かしい「味」があると思います。私にとってそれは北海道にある「みよしの餃子」です。これは残念ながら北海道でしか食べることができません。通販でこの餃子は売っておりますがやはり現地のお店で食べるのが最高です。札幌在住時にはこれを食べないと飲みが終わらない一品でありました。過日、私がよく行っておりましたすすきの店に行きましたが変わらぬ味に感激した次第です。これが私にとって懐かしい味であるのは、幼少期に家族でこの餃子を食べにいくことが一大イベントであったためそのころを楽しい・懐かしい感覚を引きずっているのかもしれません。流石に写真の「ジャンボ定食」を完食するのは難しい年齢となりましたが気持ちは変わりません。最終日には千歳空港で「けやき」を食してきました。これも非常に懐かしい味であり、これを食べないと千歳から離れることはできない味です。他にもいくつかの忘れられない味が北海道にはあります。また食しに行きますね。

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ロボット支援下手術は僧帽弁形成術の完成度をあげます

 僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術における形成の難易度は正直ぴんきりです。難しい部類の一つに、バーロー病による両尖逸脱病変があります。当科では昨年より重症僧帽弁閉鎖不全症に対するロボット支援下形成術を開始しております。開始当初は病変部が限局された、形成術としては難易度の低いものから開始しました。ただ最近では広範囲逸脱病変を含めた難易度の高いものにもロボット支援下手術を導入し良好な結果を得ております。

 何よりも術後在院日数が5日前後となってきましたので皆さん、あっという間に退院されます。今後とも安全を担保しながらこの術式を追求していきたいと思います。

 ちなみにこのロボット支援下手術は来月4月より適応が広がります。現在は心臓弁膜症に対する1弁あるいは2弁までの形成術に限定されておりますが、来月からはこれが弁置換術にも適応可能となります。ますますこのロボット支援下手術は拡大する方向です。

 今年、当科では弁置換はもちろん、冠動脈バイパス術にも導入していきます。「治療の質」を高める上でロボット支援下手術は素晴らしい術式です。今後とも皆様に情報提供して参ります。

<バーロー病による両尖逸脱の重症僧帽弁閉鎖不全症の術前エコー>

<ロボット支援下僧帽弁形成術後のエコー→逆流は完全消失、相対的狭窄症なし>

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幸運

 地元のスキー場にワンチャンスで行くことができました。小学校の頃に滑りまくったスキー場です。その当時でもなかなかこのコンディションにはなりませんでした。幸運としか言えません。2時間限定のパウダーでした。

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末梢血管外科手術 年間394例

 過去3年間の血管外科治療総数(末梢血管)をまとめてみました。2023年は394例でありました。当科ではこれを1人の血管外科医が行っております。透析シャント作成に関しては当院腎臓内科の先生方とコラボしながらの作成を行っております。ただよく1人でこの数をやっているなと感じてしまいます。もう一人の血管外科医がいればさらに発展的に診療を展開できるのですが、、、。志のある方、お待ちしております。

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当科の診療について④

「急性A型大動脈解離」、早期治療を行わないと死亡に至る恐ろしい疾患です。当院でも迅速に受け入れ、救命を目指し病院をあげて取りくんでおります。この疾患は緊急手術による人工血管置換術を要します。この手術をいかに迅速に行うことができるか、ということが重要となります。

 そのため当科では以下の対応にて患者さんの受け入れを行っております。

  1. 状況が許す限り搬入から直接手術室へ搬入
  2. 人工心肺2台が使用可能であるためこの疾患に対する緊急手術の同時手術が可能
  3. 執刀医育成により現在、この手術の執刀医が3名在籍

 2024年4月から「医師の働き方改革」によて緊急手術対応に負荷がかかるようになります。その状況下でも対応できるよう備えております。

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当科の診療について③

 重症僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術も力をいれている治療です。原因としてもっとも多い「僧帽弁逸脱症」に対する形成は完遂率99.2%でありました。完遂率とはなにかと言いますと、形成術で臨んだ手術が術中に形成できず逆流制御が難しい場合、人工弁置換へと術式が変更になります。変更にならず形成術で逆流を制御して手術を終えることを完遂と定義させていただきました。術後早期の心臓エコー検査では中等度以上の病的意義のある逆流が残存した方は123例の形成術において2例でありました(1.6%)。

 この手術を2019年4月からはMICSで行っておりますが2019年以降は77.5%の方に導入しております。さらに2023年5月からはそれを進化させたロボット支援下手術も導入しております。さらに創部が小さく、創部痛も軽減されておりロボット支援下の場合、術後在院は6.2日となっております。

 いずれにせよ、僧帽弁形成術を受けられた方皆様が当科開設以来、病院死亡0であることに安堵しております。今後もこれを継続し、かつ侵襲少ない手術を提供させていただこうと思います。

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当科の診療について②

 当科における冠動脈バイパス術の現況です。冠動脈バイパス術のみを行う場合、心拍動下手術(OPCAB)を第一選択としており、その導入率は96.9%でありました。これはどの施設でも導入されている手術でありますが、当科の絶対的な特色は低侵襲冠動脈バイパス術(MICS CABG)を通常手術として行っているところにあります。

 胸郭を温存するMICS CABGは、術後の運動制限(術後3ヶ月の車の運転不可や上半身の運動制限)がなく、重大な合併症であり胸骨骨髄炎を発症することはまずありません。また重度の糖尿病の方はその病態から使用可能な体内血管に制限がでてきますがMICS CABGではそれがありません。生命予後を左右する両側内胸動脈(ITA)の使用がMICSでは重症糖尿病の方でも可能となります。

 2015年からのこの手術を開始しておりますが、多枝バイパスを行った方の36.2%はMICSによる手術であります。胸骨正中切開による通常のOPCABとの比較においてMICS CABGは、早期グラフト開存、重症合併症発症率、術後在院日数、死亡率等において有効性を認めました。直近ではHbA1c 11台の重度糖尿病の不安定狭心症の方にも両側ITAを使用したMICS CABGを行い術後合併症なく術後12日目での自宅退院となりました。

 退院後、すぐに仕事や家事に復帰されたい方、是非ご相談ください。

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当科の治療について①

 2023年までの診療内容をまとめました。当科ホームページにも詳細を記載しますが4シリーズに分けてブログにてアップいたします。今回は手術総数であります。2023年は心臓胸部大動脈瘤手術が178例であり、前年から4例減でありました。ただしTAVIを含めますと総数としては増加傾向にあります。

 TAVIは当院循環器内科と当科が協力のもと、両診療科の執刀医にて施行されております。今年は透析に対するTAVIの施設認定を目指してTAVIの手術枠が増える予定です。TAVIは低侵襲の素晴らしい弁膜症治療ですのでハートチームをあげて取り組んでいきたいと思います。

 低侵襲心臓外科手術治療(MICS)は全体の29.2%でありました。2023年は心房細動に対する胸腔鏡下手術(ウルフオオツカ法)を行っておりませんでしたが2024年1月からは再開しております。ロボット支援下手術の増加も見込めますので今後MICSは増加するものと予想しております。

 沖縄県には多くの心臓外科施設があります。その中でも当科は低侵襲治療に特化しております。TAVI、MICS、ステントグラフト治療、そして県内唯一のロボット心臓手術認定施設として今年も早期社会復帰を目指す方々、侵襲の少ない治療を望まれるご高齢の方、創部治癒に難のある方(重度糖尿病など)、等の皆様に最善を提供させていただきます。

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ロボット支援下心臓手術の早期成績

先日、沖縄県の学会で当科におけるロボット支援下僧帽弁形成術の初期成績を発表させていただきました。沖縄県では当院が初めてのロボット心臓手術施行施設であり、その第1例目を今年の5月に行いました。指導医の指導のもとこの手術を開始し、今月12月で今年は11例を行い終える予定であります。今回は退院した9例の患者さんの初期成績を発表させていただきました。実際にこの手術を行い感じていることは2点です。1点目は、僧帽弁形成術自体の精度があがることです。これはあくまで当施設の歴史もありますが、ロボット内視鏡は病変部の観察を非常に詳細に行うことが可能です。さらには手ぶれのない、人間の関節の可動域を超えるロボットアームが病変部の切除や針糸の操作をやりやすくします。術者は手術野からはなれたところでロボットを操作しますが、患者さんには第一助手がつきます。両者の息の合った操作によりこの手術は進みますが、これには慣れを要します。我々はこの慣れをこなしている最中でありますが、手術の結果としては非常に良いものと感じております。形成術の完遂度は高く、術後在院日数も平均6.6日であります(術後コロナ罹患した1名の方をのぞきますが)。なにより、退院時の痛み止めに頼ることがほぼなく社会復帰が早期に可能となりますのであきらかにいままでのMICSとは違うことを日々実感しております。来年4月からはこの手術が適応拡大となる予定です。早期社会復帰したい方、仕事がなかなか休めない方、車の運転が必須の方にはこの手術を是非お勧めします。

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記録動画からの勉強

 今年開始したロボット支援下心臓手術。これを洗練化させるため、あらゆる情報から研鑽に励んでおりますが手術を行っている施設や執刀医が少ないこともあり、世の中にでてくる情報量は他の手術に比べると圧倒的に少ないと感じております。

 そのような状況下で、この手術を桁違いに行っている執刀医からの直接指導や情報提供には正直、非常に助けられます。日々の手術はうまく終えておりますが、より洗練をと考えると終わりはありません。

 情報の中には手術動画があり、これは他施設の手術動画からの情報吸収となりますがYoutubeが非常に有用です。動画の内容をそのままやれば良いわけではありませんが、大きなヒントがたくさん隠されています。やはり手術治療の研鑽に終わりはないですね。

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復活!

オリーブ復活してきました!湿度管理が非常に重要であることにたどり着きました。沖縄では管理しやすいかもですね。

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 オリーブの太木挿し

 先日の台風6号の暴風によって大事に育てていた我が家のオリーブの木が倒れました。近所のホームセンターから買ってきてから約8年、最初は1mくらいの樹高は5mを超え、幹の直径は30cmになっておりました。それが根元から割れて完全倒壊しました。駐車場の壁をなぎ倒し、マイカーの屋根を直撃です。

 全く残念なことですが、なんとかこのオリーブのDNAを残すべく、台風あけから挿し木に挑戦しております。オリーブは直径5cm以上で長さ30cmくらいの幹を太木挿しすることが挿し木の成功率は比較的高い、ということをネット上で勉強しました。早速、土つくり、倒れた樹木の伐採・適切な長さへの調整、等々に日々勤しんでおります。何分、樹木のボリュームが非常に多く、少しでも挿し木として残したい、という私の気持ちから作業に終わりはなかなかみえません。枯れたかな、と考え枝を切断するとその切り口には息吹を感じるため放ってはおけなくなります。

 おかげさまで全身筋肉痛の日々が続きます。一番太い幹は再生して目がでるまで1-2年かかるものと予想しております。これから気長にその日を待ちたいと思います。

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心臓弁膜症に対するロボット支援下手術は創部痛がかなり軽減されます

僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術を「低侵襲」で受けたい、という患者さんは是非当科を受診されてみてください。「低侵襲」の定義は様々ですが、手術による痛みが少なく、術後1週間での自宅退院、早期仕事復帰、等がこれに該当します。ロボット(ダビンチ)支援下の手術を導入してからは特に「低侵襲」の質が上がっております。術後の創部痛が明らかに軽減してます。  ちなみにロボット支援下手術は低侵襲心臓外科手術(MICS: ミックス手術)と同様、手術による胸骨・肋骨離断がないため退院時より運動制限は特にありません。  7月からはこれを冠動脈バイパス術にも導入していきます。

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Exercises in Free Improvisation Part II (Remastered)

昔ピアノに没頭していたとき、いかに大きなホールでピアニッシモ(最小限の音をだすこと)を響かせるのかということに集中したときがありました。これが本当に難しい、、、。そんなホールで弾く機会は当然多くはないので確かめようもないのですが、やはりホロビッツのピアニッシモを聴くと、いいな、といまだ思います。この録音はホロビッツの即興ですが1:56秒でフォルテッシモから急激なピアニッシモにかわります。最高!としか言えません。カーネギーホールの音響もあるのかもしれませんが、ホロビッツのコンサートでは本当に客席の隅々までこのピアニッシモが響いたという逸話をききますのでただただ凄いとしか言えません。

Source: youtube.com
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手術をうけられる患者さんへ

 手術の成功は、未だ執刀医自身の腕にかかっているところが90%以上あると信じています。腕の良い医者にかかることが最善ですが、その見分けは患者さんにはわからないことです。その解決法として、2-3人の執刀医の話をよくきいてみることをお勧めします。

 なぜかと言いますと、その2-3人の執刀医が話す内容は恐らくばらばらです。平均的な医療がなにかということを患者さんに伝えたうえで、その施設自体の長所短所を話す医師はある程度信用できると思います。医者も人間ですから、自身や自施設にとっての不利となる情報は言わないかもしれません。ただ2-3人に話をきくと一般論がある程度はわかります。そうすると患者さん自身がいくつかの疑問をもつはずです。その疑問を執刀医にぶつけた時、その答えで患者さん自身、どの執刀医が良いかわかると思います。逆に他施設や他施設の執刀医の長所を言える執刀医は信用できるかもしれません。

 心臓は1個、治療のやり直しはそう簡単ではなくほぼワンチャンスです。手術治療を決めるまでよく検討してください。自身や家族の生涯がかかる治療です。

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