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“ベトナム戦争のころ、私は高校生でした。激化する戦場の報道を見て、その惨状に憤ったり、悲しんだりしていました。 ところがある日、新聞で一枚の写真を見て、「ベトナム戦争では、アメリカは勝てない」と初めて思ったのです。 それは、アメリカ軍の戦車が何台も列を連ね、ベトナムの水田を踏み潰して進む光景でした。戦車が通った跡には、すでに実った稲穂が無残に倒れていました。 アメリカ人にとっては、稲は単なる草だったのかもしれません。しかし、私たち日本人も含めたアジア人にとっては、米は主食であり、水田は何より大切なもの。 その思いを理解できないまま、アメリカがどれほど大量に軍隊を送りこんで支配しても、現地のベトナム人の支持を得ることは難しいだろう。 文化の違いが、一枚の写真から直観的に読み取れたのです。”