立憲デモクラシーの会

SAVE CONSTITUTIONAL DEMOCRACY JAPAN 2014

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声明「野党の質疑時間削減は議会政治の自滅につながる暴挙である」

 総選挙で圧倒的な多数を維持した与党は、国会の委員会審議における質疑時間について、議席数に比例した配分を主張し、野党の質疑時間を大幅に削減しようとしている。これは、議会政治の自滅につながる暴挙である。

 そもそも権力分立という立憲主義の原則からして、巨大な権力を持つ行政府の長は立法府たる議会の詮議や吟味に応える責務を負っている。権力運用の誤りは国民に多大な害を及ぼすゆえに、議会は行政権力の監視をその本来的な使命の一つとしている。

 議院内閣制を採る日本の統治機構において、与党議員は最高権力者である内閣総理大臣すなわち与党党首の統率下にある人々であり、彼ら・彼女らが行政権力に対する批判や監視の機能を十分に果たせるとは期待しにくい。

 さらに、日本では重要法案のほとんどが議員立法でなく内閣提出法案(閣法)である。現与党である自民党では法案を国会提出前に党内で事前審査し、議員には厳しい党議拘束をかけているため、与党議員が国会で法案について鋭い質疑をする動機付けは弱い。法案内容を説明するのは提出者、すなわち多くの場合には内閣の役割である。また、小選挙区制と政党交付金の制度の下で政党内での集権化、個別議員の従属化が一層進展している。

このように、与党議員による監視機能はほとんど期待できないがゆえに、議院内閣制の下での行政の監視機能は野党議員を中心に担われるのが通例であり、従来の国会運営において野党議員に多くの質疑時間が割り当てられてきたのも当然であった。

 安倍政権及び安倍総裁の下での自民党は、自らの政策や政権運営に対する批判や詮議をことさら忌避する傾向を示している。憲法53条に基づく臨時国会召集の要求を無視し続け、国会冒頭に解散を行って議論の機会を封じたのもその顕著な現れであり、それに追い打ちをかけるような、今回の野党の質疑時間を削減する動きは、言論の府という国会の機能を損なうものとみなさざるを得ない。

 立憲デモクラシーの会は、野党の質疑時間の削減は議院内閣制下における議会の役割を損なう暴挙ととらえ、これに強く反対するものである。

2017年11月21日
立憲デモクラシーの会

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    禿同
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