読書第一回目「自然的経済秩序」 2013年2月22日
今回は白川昌生さん著の「美術・市場・地域通貨について」やミヒャエル・エンデが参照しているシルビオ・ゲゼルの代表作の中から、特に自由通貨の具体的な説明がされている4章を読みました。わかりにくかったので、ゲゼルの理論を取り入れた具体的な独自通貨の事例を紹介している「エンデの遺言」というドキュメンタリーも一部鑑賞しました。ゲゼルは、土地の所有という権利や、他の様々な商品に対しての貨幣の権力(貨幣の価値が劣化しないこと)、及び債権者ではなく銀行などの債務者に権力があること、利子は必ずしも存在するものなのかということに疑問を持ちます。 そこで、彼は当時の通貨制度(金本位制をやったりやめたりしていた頃)に対して、自由貨幣という独自の通貨制度を提案します。
本の中で具体的に説明されている自由貨幣は、スタンプカードのようなものですが、注目すべき点は「利子がつかず、価値が日時とともに減る、発行を制限する」というところです。 例えば1万円札には毎週20円あるいは毎月100円ずつ価値が減っていくので、貯蓄をせず、お金を得たら使うという循環構造が考えられています。 融資に関しては、利子がないので借りやすくなります。皆が生産し、消費するのであるから、それをお金を介して繋いで行くということだと私は理解しています。
当日には、 自由貨幣に対して、大規模な取引がいかにして可能なのか、一国だけで実施すると対外関係で問題が起こるのではないかという疑問が出ました。上のビデオの後に続くパートで、スイスのWIRという中小企業間だけで取引がされる独自の通貨を仕組みを持つ銀行が出てきます。そのコミュニティに入ることで経済的循環がうまれ、信頼関係/協同関係も企業間に結ばれます。WIRは中小企業への融資と企業間で相互に流通させることを支援してきたことから、1934年から現在までという活動を続けて来れたのでしょう。
ゲゼルの編み出した自由貨幣の概念は、それだけでは取り上げ損ねた問題もあり、議論の余地があります。しかしインターネットによって自由貨幣の可能性も広がっています。現在では、電子マネーを利用して、銀行預金に利子がつき増えるのと同じように単純化された減価の手続きを取っている事例もあります。現在の変動相場制は、大規模な金の移動を可能にするかもしれませんが、人々の間に競争をひきおこします。人々が協力して一緒に事業をしたいのならば、現行の通貨とは別に、信用の上になりたち人と人をつなぐことのできる自由貨幣のような通貨も持つことに可能性を感じます。
posted by Asako