前回の記事「デジタル化で生まれ変わる印刷の今と未来」では、国内の印刷市場規模の推移を追いながら、今後気運が高まっていくデジタル印刷への期待についてお話ししました。

その記事ではデジタル印刷機が持つ性能に着目しましたが、今回は、このデジタル印刷機を既存のビジネスやサービスと連携することで生まれる、新しい価値について考えてみたいと思います。

印刷機能は、既存のサービスに何をもたらすか

そもそも、多くの企業にとって、印刷は「業務から切り離された」ものでした。営業パンフレット、商品パッケージ、ダイレクトメールなどなど。誌面やデザインまでは社内で管理。でも、入稿データを印刷会社の担当者に渡したら、あとは印刷工場で刷り上がるのを待つばかり。内容の変更もできません。最近では印刷通販サイトを通して発注する方も増えていますが、入り口が違うだけで、印刷は変わらず外部のものです。

しかし、私たちが手がけるサービス「コーデンベルク」を利用すれば、APIを通じて印刷と様々なシステムを連携させることができます。それは、工程、コスト、スケジュールなどを発注側のコントロール下におけるということ。それによって印刷は、経営判断に即座に対応できる事業要素となり、社内リソースと同じように管理・活用することで、印刷の強みを活かした新事業を展開することが可能になるのです。

たとえば、こんな使い方もできます。

カーオーナーに最適な取扱説明書

購入された車種や選択されたオプションに合わせて、必要な情報に絞った取扱説明書を個別に製造することができます。必要な情報に絞って、必要な部数だけを販売状況に合わせてタイムリーに製造することで、オーナーにとって「使いやすくなる」だけでなく、自動車メーカーにとっても印刷費や輸送費、在庫費など様々な「コストの削減」といった、双方にとってうれしい成果が期待できます。

お客様との絆を強める保険外交員のノベルティ

保険の外交員の方が顧客データベースから、加入者のお子様の誕生日や受験、結婚10周年などに合わせて、心のこもったメッセージを添えたお菓子パッケージを作り、ご訪問時にさりげなくお渡しする、といった顧客とのエンゲージメント向上につながるアクションを手軽に行えるようになります。

内覧者ひとり一人に合わせた住宅カタログ

内覧時にお聞きした家族構成やお勤め先の情報、今後のライフプランに合わせて、生活シーンがイメージしやすい写真に組み替えたり、ご家族のライフスタイルにマッチした間取り提案や近隣情報を掲載した、パーソナルな住宅カタログを製造し、お客様先に直接お届けすることが可能です。

上記は一例ですが、どの使い方も既存のビジネスの中に、印刷を取り入れて新しいサービスを生み出しています。データベースとの連携や営業フローの中への組み込みなど、手法は様々ですが、それらは業務から切り離された印刷ではなく、サービスの価値を高め合う印刷です。その創出こそが、コーデンベルクが目指す役割であり、多くの企業様に使っていただく理由になり得ると私たちは考えています。