高江ヘリパッド工事強行に際する機動隊員の差別発言に対する抗議声明

 10月18日午前、沖縄・高江に大阪府警から派遣されている機動隊員が、高江ヘリパッド建設に反対する市民に対し差別的な発言を行いました。発言内容は、ある機動隊員が抗議行動をする市民に対して「触るな、土人が」と吐き捨てたというものです。  私たち「ヘリパッド建設強行に反対する若者有志の会」は、こうした差別発言に対し強く抗議します。

 この差別発言は、一警察官の問題としてではなく、警察組織全体の問題として考えられるべきです。これまでも市民の抗議行動に対し、機動隊員は殴る蹴るの暴行や差別発言を平然と繰り返していました。そうした経緯の上に、今回の発言があります。事実、 沖縄県警は「差別的で極めて不適切」だとして謝罪し指導していくと言うものの、その指導の中身についての詳細な言及はありません。警察組織全体に、抗議参加者を個人として尊重する意識が欠けていることは明らかです。

 さらに公務中の警察官がそのような発言をしたことは、現代の国際社会の流れに反するものでもあります。とくに日本政府も批准している人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)第4条(c)「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」とされており、今回の差別発言はこの条約に反しています。 言うまでもなく「土人」というのはしばしば侮辱、差別の意味をもって用いられる言葉です。長い沖縄の運動の結果生まれた「オール沖縄」のもと選ばれた翁長雄志沖縄県知事は、記者会見で「未開の地域住民を侮蔑する意味を含み、一県民としても、県知事としても言語道断で到底許されるものではなく、強い憤りを感じている」とコメントしています。

 国土の0.6%という沖縄の面積に対し、国内にある在日米軍専用基地の74%が、「日米安保」の名の下に集中しています。そのなかで、生活の安全や居住環境を脅かすヘリパッドの建設に対し、抗議し、「平穏で安心な生活をしたい」と声を上げることは、幸福追求権・表現の自由として日本国憲法により保障された然るべき行為のはずです。この機動隊員による差別発言は、日本国憲法の理念そのもの、社会の公正さを著しく傷つけるものです。 私たちはこの発言を、沖縄に向けられた言葉としてだけではなく、歴史の積み重ねの中で獲得してきた近代国家の理念と、そのうえにある私たちの生きる社会全体に対して向けられた言葉であると捉えています。私たちはこの事実を沖縄のみの問題でない、日本国内で起きた事実として重く受け止めます。私たちは、憲法によって保障された私たち自身の権利を行使し、今回のような差別発言に対して毅然と抗議するべきであると考えます。

 私たち「ヘリパッド建設強行に反対する若者有志の会」は、このような不公正を許さないという決意を込めて、大阪府警に対し、機動隊員の差別発言に関して強く抗議します。そして真摯な謝罪とともに、大阪府警をはじめとした全国の警察組織内における指導・教育の徹底、かつ北部訓練場のヘリパッド建設工事における警備からの全機動隊員の速やかな引き揚げを求めます。

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