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未来の若者 -げんしょのしま①


若者というのは頭がキレるし意志は強いし、本当に厄介な生き物である。
自分が若者であった時もこの生き物だったのだろうか、
ふうとため息をつき、振っていたカクテルをグラスに注ぎ、目の前の若者に目をやった。

「いかねぇって。もうヨボヨボだし山登りまじ勘弁だわ」

まだ若いですよ、とテンプレのようなことを返した目の前の若者は、
ひし形のものを手のひらで転がしながら再度息をついた。

「お、それ何かの発動媒介か?すげぇな、今度調べさせてくれよ」
「話そらさないでください」
「…だから…」

そもそもNIVには昔よりも若い世代が多く在籍している。
ハイブリッドな医者、ヘビースモーカーの科学者、地学研究者、ピンクフレームの武器研究者、踊り子傭兵と炎の傭兵、仕事人サイキッカー、…などなど。
少女型戦闘アンドロイド、ケアアンドロイド、電気生命体に神の遣いと戦闘面においてもまったく困らない。
とにかく彼が自分のような齢と山に行くような理由は特に見当たらないのだ。

「山登り得意そうなやついっぱいいるじゃねぇか」
「ピュアさんにお願いする気でしたので」
「ほぉーそれは超絶ありがたくて拝んじまう」

拝む振りをするとああもう、と彼…トイツェルカはガタン!と
らしくない音を響かせながら立ち上がった。
その様子をまじまじと見やりながらふうとため息をこぼす。

「本当にありがたい申し出だ、トイツェルカ。でもこのざまだ、山登れたところで戦力として動けるかわかったものじゃない」

先日は草原に城、動くにはうってつけだったため戦闘でもクルトとプラムの両名の足を引っ張ることなく責務をこなすことができた。
NIVの尊い未来を担うものの足を引っ張ることはご免被りたい。

「なら僕が、ピュアさんの目の手助け…しましょうか」
「…!」

彼の口から紡がれた言葉に思わず息を飲んでしまう。
だから若者というのは…
こんな一個人に大きな言葉ですら簡単に紡いでしまう。
本当に厄介で健気でいとおしい。

「…っあー…もう 青二才が生意気いいやがって」
「!じゃあ」
「本当に俺の目ぇやれよ!」

キュッ、と拭いていたワイングラスを置くと、
はてなを浮かべるトイツェルカを横目に、奥のテーブル席の方へ向かった。

「おい、今の話聞いてただろ」
「あぁ聞こえてたよ。あーんなでかい声で喋られちゃあねぇ」
「手前に言われちゃ世話ないな。」

奥のテーブル席にいるのは町の酒場の頭領、自分もたまに世話になっている女将である。
今日は仕事の取引のためヒンデンガルドまで呼んで待っていてもらったわけだが…。
全ては世の中の神様の手のひらで転がされている気がしてしゃくだ。

「あんたんとこの息子借りてっていいか」
「あんなバカ息子でいいのかい?」
「怪我させねぇからよ。それに目は多い方がいいしな」

やれやれ、と肯定的に首を振ったジュディにわりぃな、といい、その10秒後には、新しいダンジョンと"取引成功"にすっかり意識が飛んでいる未来の若者を見るのだった。

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トイツェルカくん@ヒスヤナさん
ジュディさん@六月
他NIVの皆さんのお姿やお名前お借りしています!

トイツェルカくんの押しに負けて第二ダンジョンへ!
目に関してよりそわれると弱いおじ(笑)