KARASU no ZAREGOTO

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Skyrim不動産案内:ウィンドヘルム編

 いらっしゃいませ、お客様。土地をお探しですか? それとも、仮住まいのアパートを?
 はい、もちろん、できるかぎりお手伝いをいたします。
 どうぞこちらにお掛けください。
 時間ですか? いえいえ、どうかお気になさらず。お客様がいらっしゃれば、それが当店の営業時間でございます。まさか朝までかかるわけでもございませんでしょう。

 それで、お客様がお求めの物件とは、どのようなものでしょうか。
 ふむふむ……まず、錬金、付呪といった一通りの設備があること。それから、ディスプレイですか? なるほど、自分のための博物館のようなものに。冒険で手に入れた、珍しい武器や防具を飾って楽しみたい、と。
 それから、お店へのアクセス。錬金術にもお詳しいとなると、作成した薬を買い取ってもらったり、あるいは足りない材料を手近に揃えたりするのに、良いお店は必然でしょう。
 代金は、20000を越えなければ理想的なのですね。
 となると……、ふむ……、……ん~……。

 あ、いえいえ、ございます。丁度わたくしに思い当たる物件が一つ、間違いなくこれであればお気に召していただけるに違いないものがあるのですが……その、いわゆる事故物件、でございまして、はい。
 ですので、本来ならば不動産だけで20000ゴールドでも安いような物件が、今、土地と建物で12000ゴールド、装飾品が9000ゴールドで売りに出ております。ご予算は僅かにオーバーいたしますが、きっと気に入っていただけると思うのですが、ええ、わけありでございますから。
 え? 構わない、のですか? あの……元、殺人現場、なのですが……。いや、もちろんそれはきれいに清掃済みです。床板や壁などの汚れも、拭き取るのではなくすべて張替えを行いました。
 一度、ご覧になりたい? それで、その価格、その事情でも構わないと思えたら、購入もやぶさかでない、と。
 かしこまりました。では、明日の朝に馬車を……え? あ、いえ……大丈夫です。現地でも。はい。場所はウィンドヘルムです。では、……はあ、かしこまりました。夕方6時に、正門で待ち合わせですね? はい、では、そのように。
 どうぞお気をつけてお帰りください、マダム。


 お待ちしておりました、お客様。
 ところで、スカイリムは初めてでしょうか? 以前少し立ち寄ったことならおありなのですね。では、このウィンドヘルムにも? ええ、頑丈な城壁に守られた、スカイリム東の要。お客様が来られたときも、首長はウルフリック・ストームクロークでしたか? もっと前。……そうですね、アルトマーの寿命は我々とは違いますから、わたくしなどよりはるかに多くの出来事を目にして来られたのでしょう。
 さ、では中に入りましょうか。

 この宿屋、「キャンドルハース・ホール」は、お客様が以前に来られたときにもありましたでしょう。ええ、2階に燃えている「ヴンドヘイムの炎」。わたくしも見たことがありますが、なんとも不思議なものですね。それに今はここに、作家が一人寄宿して、炎の傍で日々執筆に勤しんでいるそうです。
 市場へはこちらから。え? 昔は違ったのですか。はい。今はこちらからウィンドヘルムの中央市場に向かいます。
 街の逆側は今、灰色地区と呼ばれておりまして、主にダンマーたちが生活しております。そうですね。あまり愉快な呼び方は申せません。あちらにも雑貨店や酒場はありますが、売買の規模も大きいと言えませんし、あまり普段からお世話になるようなことはないでしょう。

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 市場には食品や雑貨を扱う露店と、オエンガル氏の鍛冶場、それから錬金術店「ホワイト・ファイアル」がございます。そして……その、ちょっとしたツテがあればですが、わけありの品を買い取ってくれるお店もございます。それがどこの誰かは、今は申し上げませんが。
 はい、ですからここに来れば、武器や防具の売買、薬や錬金素材の購入も簡単です。とある人たちと”親しく”なれば、衣類や魔法道具といったものすべてを、豊富な資金で買い取ってくれますから、この市場の有用性は格段に上がることでしょう。
 この市場から「ヒジェリム」……今回ご紹介する物件の名前です。そこまでは、隣接しているというほど近くはございませんが、歩いて行く範囲としては手軽な範疇かと存じます。
 こちらどうぞ。溶鉱炉の傍、「ホワイトファイアル」の脇道から通じておりますので。
 ……お客様。その、お気にならなければ良いのですが、こちらからですとどうしても墓地の傍を通ることになりまして……。宿屋の脇を抜けて首長の砦に向かい、そちらから回ればただ細い路地が続くだけです。ですからどうしても不気味だと……え? 平気ですか。たしかに。事故物件でも構わないとおっしゃるほどのかたでしたら、今更その程度のことは気になさらないのも当然でしょうか。
 では、こちらへどうぞ。

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 こちらが「ヒジェリム」でございます。
 いかがでございますか。
 ええ。あのようなことさえなければ、不動産のみを20000ゴールドでも買い手はあったかと思います。委託してくださっている執政のヨルレイフ氏も、ずいぶんと頭を痛めておいででした。
 外観にも高級感がありますし、中の設備の充実ぶりはスカイリムで一番と言っても過言ではありません。
 さ、では、中へどうぞ。

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 少し味気ない? そうおっしゃられると、一言もございません。たしかにここは少しがらんとしすぎているかもしれませんね、はい。広い2階を支えるのに、ノルドの建築様式ではこの柱を入れざるをえず、敷物を敷いたりするのもなかなか……。
 あ、玄関脇のエンドテーブルは、外出の際お持ち出しになるような品を仕舞っておくのによろしいかと存じます。

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 奥はキッチンになっております。
 面白いのはここに本棚があることですね。きっと、軽い読み物やレシピ集なんかを置くためでしょう。ええ、使用人クラスの人たちが、仕事の休み時間にちょっと手に取るような。
 申し訳ございません。わたくしどもでは、使用人の斡旋は行っておりませんので……。マダムご自身で、これと思うかたを雇われても良いかと存じます。
 しかし……たしか、首長の信頼を得て譲り受けることのできる従者は、男性とうかがったような……。……え? ああ、そうかもしれません。マダムの魅力で虜になされば、料理だろうと掃除だろうと、喜んでさせていただきたい気持ちになるかもしれませんね。え? わたくし? い、いえ、わたくしはその……っ。
 ま、まったく、からかわないでください。お客様も、お人が悪い……。

 え、ええ、では次に、こちらへどうぞ。
 タンス。ええ、タンスですが、中に棚はございません。そしてこの、背板をずらすと……。

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 さすがに驚かれましたね。
 はい、そのとおりでございます。ここは隠し部屋になっております。これを作ったのが、その、”例の人物”なのか、最初の持ち主が建築士に命じたものかは残念ながらわたくしどもにも調べられませんでした。
 中はこのように、錬金台と付呪台の揃った、一種の実験室のような感じになっております。壁には武器の飾り額。実はお客様のため、レプリカではあるのですが、ちょっと珍しい杖や、本を飾ってみました。ディスプレイの充実をお求めだということで、参考になればと。こんな具合になるかと思いますが、いかがでしょうか。
 ああ、良かった! はい。ぜひここには、マダムご自身が選ばれた剣や杖、あるいは弓をお飾りください。
 本棚もございますから、知的な部屋としては申し分ございません。もし錬金や付呪の素材を仕舞っておくのであれば、部屋を出たところにあるタンス、あちらは本物のタンスですので、あの中をうまく仕切ったりして使うのが手軽で良いかもしれませんね。

 では、2階へご案内いたしましょう。

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 いかがでしょうか。この充実度は。5本の武器が並べられる武器棚、大型の武器ケースが3台、ダガーケース2台、シールドラック、そして3体のマネキン。あちらの壁には武器の飾り額もございます。
 実のところ、スカイリムの他のどんな物件も、武具のディスプレイに関してはこれほどのものはありません。ここにずらりと珍しい武器や希少な防具などを展示すれば、ささやかながらまさに博物館といった趣になります。
 そうですか! お気に召していただけたのですね。それはなによりです。

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 では最後に、こちらが寝室でございます。広々としておりますし、貴重品を仕舞う宝箱、大きな本棚、背の高いタンス、手頃なエンドテーブルと、どれも高級感のある造りで揃えてございます。
 はい、このお部屋にもダガーラックがございます。こちらにはむしろ、宝飾品のように見目の美しいものなどお飾りになられてはいかがでしょうか?
 たしかに、そうですね。本やアクセサリーを飾るケースというものもあれば、まさに文句のつけようがなかったでしょう。わたくしどもも、ぜひそういう物件を取り扱いたいものです。

 さて、いかがでしたでしょうか。
 正直に申し上げまして、事故物件というマイナス要素さえなければ、スカイリムでも屈指の高級住宅でございます。市場へのアクセスも悪くはありませんし、「キャンドルハース・ホール」の2階で、芸術談義に花を咲かせるのもきっと楽しいでしょう。
 もちろん、ストームクロークの支配する街ということで、ノルド以外の人には少し肩身が狭いかもしれませんが、それは普段の立ち居振る舞いや、街への貢献次第でなんとでもなることかと存じます。

 ああ、そうですか、それは良かった!
 はい。ではそのように。至急手配いたします。はい。

 おや……外はもうすっかり暗くなってしまいましたね。いかがなさいますか? もしお泊りでしたら、「キャンドルハース」にお部屋をご用意いたしますよ。
 え? ウィンドヘルムの街がよく見渡せるような場所、ですか?
 近くにちょっとした山はございますが、マダム、なにせこんな時間でございますから、明日の昼になさっては……? 今夜の内に見ておきたい? さようでございますか。はい、承知いたしました。では、心当たりにご案内いたします。

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 さすがにこんな時間では……。雪も降ってまいりましたし、あまり楽しい夜景とは申せませんね。え? これはこれでスカイリムの厳しさが伝わってくるから風情がある? たしかに、そう言われてみるとそうかもしれません。
 雪に霞んで見づらいかとは思いますが、あのひときわ背の高い、中央の立派な砦がウルフリックの宮殿でございます。その向かって右側には灰色地区が広がり、左手前には市場。左奥にお客様の「ヒジェリム」が……って、あ、あの、マダム? 距離が大変、近いのではないかと……あ、あの、お寒いならわたくしの上着を……って!!
 きっ……きっっ、吸血鬼……ッ!?
 ひぃええぇぇぇぇぇ~~~っ!!