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SKYRIM不動産案内番外編:Frostvale Estate

 お待ちしておりました、お客様。
 このたびはわたくしをご指名くださいまして、まとこにありがとうございます。高名な冒険家でいらっしゃるお客様に名指しでお呼びいただけるとは、正直なところ、少しも思ってもおりませんでした。
 いえ、お世辞ではございません。実はわたくし、お客様のお書きになられた本の大ファンでして……。はい、もちろん拝見いたしました。実は……わたくしが今この仕事をしておりますのも、小さいころ、父の書斎でお客様の著書を拝見したことが切っ掛けなのです。あの本に描かれた冒険と、その時々に立ち寄った土地の風物、人、そして建物。自分の目で見てみたいと思ったものの、わたしくはとても冒険家向きではございませんでしたので、とにかくなんらかの理由でいろんな土地をじっくり見て歩けるような仕事につきたいと。それで、「不動産を見に行く」ことのできるこの職を選んだのです。
 あ、いえ、わたくしの話などこれくらいにして、さっそくくだんの物件にご案内いたしましょう。
 ご要望は、これまでの冒険で収集した様々な物品を、見た目にも美しく陳列できるような、それでいて日々の冒険の助けともなる機能的な家、でございましたね。
 はい。きっとご満足いただけると思います。




 「フロストベイル邸」は、ウィンドヘルムのすぐ近く、馬屋からは目と鼻の先にございます。このなだらかな丘を上がればすぐそこで……はい、こちらでございます。

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 いかがでざいましょう。ご要望どおり、芦毛の良い馬もご用意いたしました。
 エンツォ……あ、馬の名前ですが、こちらはお客様が付け直してくださって結構です。……え? そうなのですか? スカイリムに来たばかりの頃、ホワイトランの馬屋で馬を買って、名前はあるが好きにつけてくれればいいと言われたものの、新しい名前で呼んでもまったく反応せず、結局元の名前で呼ぶしかなかった、と。ではエンツォももしかすると、この名前に愛着があるかもしれませんね。
 それでですね、エンツォのすぐ向こう側あたりなのですが、直接地下に降りる落とし戸がございます。鍵は邸内にございますので、後ほどお渡しいたします。
 では、中へどうぞ。

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 一階は、エントランス、左に広い図書室、そして、奥にダイニングと、その脇にキッチンが設えてございます。
 この図書室は300冊以上の本を収納することが可能で、テーマ別や、シリーズ別などで分類するのにも十分なスペースがあることと存じます。
 ……まさか、ここに納まりきらないほどの……? 入れてみないと分からない? さすがでございますね。しかしそれでは、きちんと整頓して片付けていくのにも一苦労では? たしかに、冒険より骨が折れるかもしれませんね。

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 さて、こちらのダイニングには、お客様をおもてなしするための様々な奇品・珍品も陳列できるようになっております。各地の大立石のミニチュア、神々の祠、それから、その気にさえなれば、ちょっとした悪事に手を染めでもしないかぎり手に入らないような品も、専用に飾っていただくことができるでしょう。ここに通されたお客様が目を丸くすることは疑いありません。
 この家には地下もございますが、先に二階へご案内いたしましょう。   

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 二階には主寝室の他に客室が二間、それから、小さいものですが浴室が設けてございます。浴室の傍には衣装戸棚もございますので、お召し替えを仕舞っておくのにも不自由はなさいませんでしょう。
 一人で使うならともかく、来客があったときこの風呂場は小さすぎる? たしかに、お客様をお通しするにはいささか貧相かもしれません。ええ、ですが、スカイリムにはどうも、頻繁に入浴する風習がないようで、風呂場のある家自体がかなり珍しいものですね。
 はい。まずはお客様にゆっくりとおくつろぎいただければ、それがなによりです。
 では、いよいよ地下へご案内いたします。

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 いかがでございましょうか。地下はまずこのように、武具の陳列フロアとなっております。縦掛けの武器ラックが珍しい? そうですね。横向きのものはよく見かけますが、縦になっているものはなかなか珍しいかもしれません。
 マネキンはご覧のとおり、壁際に10体ばかり、中央は武器ラックを仕切壁の代わりにいたしております。ケースも豊富にございますので、ダガーも十分な数を納めていただけるでしょう。
 それから、このすぐ左の部屋が、様々な設備を集めた製作室でざいます。

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 手前が鍛冶、奥が錬金・付呪のための部屋となっており、それぞれに特別の収納場所も設えました。
 たとえば鍛冶場のほうではインゴット、鉱石、皮などを見た目にも分かりやすく分けて収納いただけますし、付呪台の上には巻物と魂石用の場所もございます。
 ええ、戸棚になんでもかんでも押しこむことが多いタムリエルですが、こちらではすべてがそれにふさわしい場所に納められるよう、そして、どこになにを入れたかが一目で分かるよう、最大限に工夫いたしました。
 鍛冶場のスペースが少し広すぎる? たしかに、もう少しコンパクトに設計しても良かったかもしれません。あまりにお気に召さないようでしたら……あ、良かった。それほどではないのですね。
 では、このフロアの奥へご案内いたします。はい。まだ、奥がございます。

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 更に半地下になっておりまして、このすぐ左の小部屋は植物の栽培室でございます。これも備えている物件は多くありません。錬金によく使う植物などは、冒険からお戻りになられた際にでも、収穫と新しい植え付けをなさってはいかがでしょうか。

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 それからこちらが第二陳列室とでも呼ぶ広間でございます。
 さすがに驚かれましたか。ですが、スカイリムにはこれを更に上回る規模の陳列室を備えた物件もございますので……。さすがにそれほどの数の武具はないし、ましてや飾りたいものとなると、これを埋めることもできるかどうか? お客様でも、この数のマネキンに着せる防具はお持ちではございませんか。……ああ、なるほど。付呪で様々な用途に分けたセットを作って、製作室の近くにはそれぞれのセットを、そしてここには、着ることはない記念品のようなものを並べる、と。それは素敵なアイディアですね。
 足元の宝箱には防具と合わせたアクセサリーや、あるいは武器も収納できますし、ぜひ様々にご活用いただければと思います。

 「フロストベイル邸」はいかがでしたでしょうか。お気に召していただけましたか?
 ああ……! それは良かった!
 はい、でしたらすぐにでも整えますので、そうですね、最速で明後日にはご入居いただけるように手配いたします。はい。あ、そうそう、鍵を忘れておりました。たしかサイドテーブルに。……あ、これです。はい、どうぞ、もうお持ちください。
 ―――あの……それから、ですね、その……これはものすごく個人的なお願いなのですが……あの、この本に、サインをいただけませんか……? 作家でもないのに困る? いや、そんな、ですがこの本は、わたくしにとって一番の愛読書で、本当に、大ファンなんです。はい。あっ、ありがとうございます! 大切にします!!