KARASU no ZAREGOTO

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Jul 3

Skyrim不動産案内番外編:Icefall Cabin

 いらっしゃいませ、お客様。本日は……え? ああ、どうぞお気になさらず。まだ営業時間内ですから。たしかに少し遅い時間ではありますが、お仕事なので日中はなかなか時間がとれないかたもいらっしゃいます。お客様も……違う? そういうわけではない? ? ええ、今はわたくし以外、フロアには誰もおりませんが……。
 ええ、はい。ああ! もちろん覚えております。なにせわたくしはあのかたの大ファンでございますから。では、あのかたのご紹介でいらしたのですか? わたくしに相談してみたらいいだろうと? ありがとうございます。はい、もちろんわたくしにできるだけのことはいたしますので。
 わたくしを見込んで正直に打ち明ける……? え? ええ!? お客様は……吸血鬼……!? もちろん、無闇に人を襲ったりはしないし、やむなく血をもらうときも、相手を殺すようなことは決してしない? ただ……ああ、だからこの時間に……。
 あまり人のいない、北のほうの静かな家がほしい、のでございますね。日中でも、雨や雪であれば少しは過ごしやすいから、と。なるほど……。え? それはもちろん驚きはしますし、怖いとも思いますが、真正面から正直に、吸血鬼だが君を襲うつもりはない、なんて言われると、信じていいかと思いますから。それに、あのかたのお知り合いで、わたくしに相談してみたらいいと聞いていらしたのですよね。でしたら、わたくしがお客様を疑う理由はないと存じます。
 はい。一軒、これならと思い当たる物件がございますから、もしよろしければ近日中に、そうでございますね、夜の7時頃にホワイトランで落ち合うのはいかがでございますか? はい。では、お待ちしておりますので。

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 ホワイトランを出て、街道を北へ向かうとウィンドヘルムへ向かう東西の街道にぶつかります。そこを東に進んだ先にあるのが、このアイスフォール・キャビンでございます。
 ウィンドヘルムほどではないもののよく雪が降るあたりで、街道の脇とはいっても人通りはそう多くありません。ことにこれくらいの時間になりますと、本当に静かなものでございますね。はい、あのランプはモロウィンド風のもので、あたたかみのある色合いが寒い景色の中でもほっとさせてくれます。

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 なお家の少し脇には馬小屋もございますから、もし愛馬などをお持ちでしたら、ぜひこちらもお使いください。

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 こちらは屋外の鍛冶設備でございます。最低限のものを揃えて並べただけではございますが、冒険家や傭兵といったかたには必須でございますね。特にこのあたりは、すぐ傍に大きな街もございませんから。
 ただ、今中へご案内いたしますが、錬金台と付呪器具は供えてございません。お客様の場合、ぃつでも気軽に街に行くというのもなかなか難しいと思いますが、この点は大丈夫でしょうか? そうなのですね。ええ。たしかに、それを職業として極めようというかた以外、頻繁に薬を作ったり付呪をしたりということはないかもしれません。
 では、こちらへどうぞ。

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 率直に申し上げますと、いささか室内が薄暗いかとは思います。ですが暗いということはございませんし、この静かな雪の夜には、こういった落ち着いた……そうですね。沈んだ色合いというのも、物思いに耽ったりするのにはむしろ丁度いいのかもしれません。

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 この玄関脇には簡単なバーコーナーと衣装戸棚もございますから、お帰りになられた際に持ち物を片付けたり、あるいは手頃なワインを取ってそちらのテーブルに向かう、といったこともお楽しみいただけます。

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 二階も、というよりロフトもこのとおりシンプルで、ベッド以外は壁際にローケースがあるくらいとなっております。ええ、ちょっと変わった品を展示しておりますが、あいにくとレプリカでございますから、品物としての価値はございません。
 え? はい。階段下の書棚でございますね。なかなか面白い陳列をしておりますよね。本を並べて、その脇に薬瓶。下の段には本を寝かせて置いていたり……。ですので、決して内装にこだわりのない設計士の建てたものではございません。おそらくそのかたの好みが、派手で明るい家ではなく、この……なんと申しますか、哲学者や隠者めいた、寂びた風情なのではないかと、はい。

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 玄関とは逆のドアから出ますと、このようにテラスがございます。夜風に吹かれて一杯、というには少しばかり寒いかもしれませんが、……そういえば、あの、失礼なことでしたらどうぞそうおっしゃっていただきたいのですが……吸血鬼になると、寒さというのはまったく平気になるのでしょうか? え? 半裸みたいな装備で歩き回る山賊なんかもいるスカイリムでそれを聞くのか? たしかにそうですね。寒さについては、ほとんど感じなくなった? 昔は決してそうではなかったのに……。
 はい? ……もし、わたくしでも良ければ、こう申し上げるのもなんですが、何故お客様のようなかたが吸血鬼になってしまわれたのか、ずっと気にはなっておりました。ご自分がそうであることを、喜んではおられませんよね? 治したいとは思われなかったのですか? 又聞きのようなものではございますけど、たしかモーサルに、その方法を知っている魔術師がいると聞いたことがございますが。
 今はまだ治さない? 復讐のため、でございますか……? ええ。はい。……なるほど……。

(そうして夜はふけてゆくのであった)