KARASU no ZAREGOTO

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Skyrim不動産案内番外編:Underhearth

(管理人より:今回もうちのところのキャラネタ高めですが、こういう場所に住むなら、こういう背景をRPしても楽しいよねというサンプルとしてご覧いただければ幸いでござります)




 父上がスカイリムに来たのは、半ば亡命であるとは聞いていた。しかしあの父がなにかから逃げる、たとえ一時的にであれ逃亡するなどと、私にはどうしても想像しがたかった。
 後に聞けば、この亡命と行き先を言い出したのはエスケルおじさんであって、父はそれに強いて反対する理由がないため同意した、といった程度にすぎなかったらしい。エスケルおじさんに説得されるのでなければ、父は残るという選択をしたように思える。
 しかも、父の日頃の様子には亡命者らしいところがまるでなかった。口惜しさもなければ、命を狙われている危機感あるいは緊張感もない。
 私が父の亡命に実感を持てなかったのは、そういった理由によるものだろう。
 しかし実際に刺客に襲われたとなれば、話は別だった。
 そのあたりの詳しい話はここに書きつけても仕方がない。読み返すこともないだろう。ただそのために私は、隠れ家くらい用意したほうがいいのではないか、と考えるようになった。

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 そういえばウィンターホールドに来て間もない頃、こんな紙片を拾ったことがある。
 町から南東に道を辿り、アズラの祠を右に見て進み、鉱山が右手に見えたら左折すると、古いノルドの住居が見えてくる、と書かれている。
 地図を頼りに考えてみるに、おそらくこの「ノルドの古い住居」とは、”修行者の隠れ家”と呼ばれている場所のことだろう。そういえばあの場所は雪原の中に埋もれるように存在しており、隠れ家とするには丁度いいかもしれない。……ただ、口に出して言ったことは一度もないが、サマーセットで500年ばかりの生きてきた父は、寒さが得意ではないらしい。だとするとあの場所は少し寒すぎるだろうか。
 そう思いつつ私は、一度様子を見に行ってみることにした。
 もっとも、少し身を隠してはいかがですかと言ったところで、父が聞くとも思えないのだが。

 修行者の隠れ家は、よく山賊のねぐらになっている。しかし今回は幸いにも無人だった。と言っても、私がかつて訪れたときから変わらずに、ボルビルという名の元学生の死体が腐りもせずに転がっている。フィニス先生からうかがった、行方不明の見習いの内の一人だ。埋葬してやりたいが、あいにくと勝手にできることではないらしく、私にはただそっとしておくしかない。
 さて、ここに私のようなハイエルフが住まうことはできるだろうかと見回すと、……今はあれこれと自分で設備を整えることもできるとはいえ、さすがに戸外と変わらないのでは、こうして立っていると次第に寒さが募ってくる。
 だいたい、そうなるとボルビルの遺体をどこかそのへんに捨ててくることにもなるだろうし、と考えていたときだ。彼の手元に、一冊の手帳と鍵があるのが目についた。
 どうやらボルビルは、この地下に秘密の隠れ家を作っていたらしい。見れば部屋の片隅に、入り口とおぼしき落とし戸があった。
 下りてみると、氷壁に挟まれた狭い通路があり、その先にはなかなかに立派な部屋が作られていた。

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 地表にあったものと同じような、簡素な石造りの建造物だが、地下には氷雪は吹き付けてこない。
 ベッドにテーブル、いくらかのものを仕舞っておける収納もあるし、

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 小さいものの書棚(注:書見台の下部)もある。

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 暖炉がしつらえてあるのもいい。
 製作設備類は一切ないものの、それは必要であれば部屋の外周部に自分で設置してもいい。そのためのスペースは十分にある。しかしそれ以前に、あの父が今更新しい武具や薬、付呪を要することはあるまい。もし必要になったとしても、手近になければ困るという頻度でもないだろう。

 他になにかないだろうかと見てみると、降りてきたのとは逆側にも出口があった。ハシゴを登って落とし戸を押し上げ、外に出てみると、そこはウィンターホールドの宿屋と、廃屋との間だった。
 私が紙片を拾ったのが、丁度その廃屋のあたりだった。出入りする誰かが落としたものだったのだろう。
 この場所は、昼間出入りするには目立つものの、夜間であればそれほど人目に触れずとも済むかもしれない。
 とはいえ最大の問題は、父が頷くかどうかだ。危険を過小評価する人ではないが、おそらく、刺客ならばまた返り討ちにすればいいと考えている。そうすることで変化が起こるのを少しばかり期待しているのかもしれない。
 それになにより、父が懸念しているのは、自分のいる場所、その周囲の無関係な人々を危険に巻き込むことだ。そのせいか、以前ほど大学にいることがなくなったように思う。であれば、大学に程近く、町の中から通じている場所というのは気に入らない可能性が高い。

 まあいい。考えても仕方ない。
 私はただ選択肢を一つ用意するだけだ。父が興味を持つかどうか、それでどうするかは、私には関係ない。……関係ない、というのは違うが……。
 これをどう表現するべきか、などと考えて座っているくらいならば、とっとと伝えてこよう。と言っても、大学にいるかどうかも分からないのだが。




【管理人の余談】

 このmodはかなり昔からあるものですし、以前に一度導入して見ています。
 そのときには、製作設備がないことや、内装がシンプルすぎることが気になって案内から除外しました。
 しかし今改めて見ると、「製作設備がない」というのも一つの建造物的RP、住民の素性を思わせるもので、逆に好ましく思えました。
 また、それでも必要なら自力で追加する手段がいくつかあるし、そのスペースもあるというのも良いところ。
 そんなわけで、超今更ながらの案内になったのでした。