KARASU no ZAREGOTO

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Apr 2

Skyrim不動産案内番外編:Zenika Ruins

 私の住まいはイリナルタ湖にある。中洲と言うのも申し訳ないような小さな場所で、そこにある小屋には最初、年老いた狩人が住んでいたそうだ。人によっては”みすぼらしい”と言うだろうあばら屋だが、私はその小屋が気に入っていた。
 湖の周辺は景観も良く天候に恵まれる日も多いので、時間を持て余したときには散歩に出かけることもある。
 それは、そんな散歩の途中で見つけた。

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 いつもすべてを観察し記憶しながら見ているわけではないから、「こんなものがこんなところにあっただろうか?」ということは、時々ある。だがこれは……さすがに断言できる。こんなところにドゥーマーの建物などなかった。
 だが驚くには値しない。西岸にあった半壊した塔を利用した住まいがいつの間にかなくなっていたように、これはいつの間にか現れたものに違いない。最近のスカイリムではよくあることで、私がこんな現象に出会うのも何度目だろうか。
 幸い私は冷気に強く呼吸も必要としないスケルトンだ。ドゥーマーの遺跡を探検したことがなかったのもあって、好奇心の示すままに近寄り、周囲を泳いで回っても特になにも見つからなかったので、思いきって潜ってみた。
 するとそこに、金属製のレバーを見つけた。

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 レバーを倒してみたところ、出たのはこんな場所だった。

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 湖にある小さな建物は、ここに通じる……転送装置というか、リフトというか、どうやってここに運ばれたのか記憶がないのは不思議だが、ともかくこの場所に登るための仕掛けなのだ。

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 石造りの階段が折れ曲がりながらゆるやかに上へと続いている。途中にはベンチもあった。寒ささえ感じなければ、見晴らしも良いし、今日のような天気のいい日には一息つくのにもっていいだろう。

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 やがて辿り着いた扉の前には、薪割り台と、

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 皮なめし台が備え付けられていた。どうやらここは、遺跡というよりもドゥーマーの遺跡を利用した家らしい。
 どんな家なのだろうか、誰か住民はいるのだろうかと扉を開ける。

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 するとそこは屋内ではなく、またしてもどうやって移動したのかは記憶にないのだが、更に高い場所にある展望台だった。
 入り口になっている水中リフトも、イリナルタの深淵と呼ばれている廃墟もよく見える。私の住まいはもう少し奥にある。さすがにここからは見えない。
 四方に広がるパノラマは圧巻だが、この高度になると風が強い。幸い私は寒くもないが……ここに椅子やテーブルを置いても、なかなか腰を下ろす気にはなれないかもしれない。

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 中層に戻って更に奥へと進む。

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 行き止まりにはもう一つの扉と宝箱があり、そしてその中に、この家の鍵が収められていた。
 住民が出かけるために鍵をここに入れて行った、というのではなさそうだ。これが一度目ならともかく、何度かこうして不思議な家に出くわしてくると、遠慮というものはなくなるものらしい。私は自分で驚くほどあっさりと、中に入ってみることを決めた。たぶん、生前の私ならばもっと躊躇った気がするのだが。

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 どこからか差し込んでくる光が、整地な模様の彫られた石の柱や壁を照らしているが、奥は薄暗い。

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 しかしそこかしこに明かりがあり、また、マネキンや武器額、武器ラックが置かれていた。

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 後に私は知り合いのカジートから、こことよく似た家が別の場所にもあることを聞くのだが、どうやら私たちの感想は同じだったらしい。「ここは、家というよりもアーマリーのようだ」と。
 私にとってはなんとない既視感を覚える空間だ。

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 古い樹木の脇に、更に奥へと続く金属の格子戸があり、

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 入り口の通路脇、奥にもあった大型の武器ラックがまた置かれている。これだけあると、一人で使うというより、やはり複数人共同で使う武具庫といった趣きがあるが、傍らの棚には日常の生活を思わせる品々が乗っている。

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 やがて奥に、大量のインゴットを積んだ棚が見えた。

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 その手前には大小の陳列ケースが並んでいる。

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 ここは製作ルームのようだ。

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 錬金、付呪の道具もあるし、

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 裏側は鍛冶場になっている。あいている棚は、好きなものを飾ってくれということだろうか。

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 その奥が生活空間だった。

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 調理鍋やオーブン、

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 大きな石のテーブル、

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 そして、寝心地がいいようには見えないが、立派な石のベッドもある。……毛皮をもう何枚か敷き詰めれば、なんとか寝られる気がしなくもない。ことに私には"肉"がないので、このまま寝たら翌朝には骨が欠けていそうである。

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 棚や収納箱は現代でよく見る木製の物も多いが、ここにはドゥーマーの遺跡からそのまま流用した棚もある。
 家と呼ぶには大きく、生活の場よりも仕事の場のほうが広い建物だが、景色もいいし、面白……いや、入るたびに毎回水に潜るのか……? そもそもここにはどうやら、地図に記すマーカーもないようである。設計主殿が失念しているのだろうか? だとすれば、やがてきちんと整備されるに違いない。
 それに、聞くところによると、テレポート用のポイントを自分で設置する方法もあるらしい。それを用いれば、ダイレクトの玄関の前、あるいは自室に戻ることも可能になるだろう。であれば、気にすることもあるまい。
 これならばきっと、あの不動産屋の青年も喜ぶだろう。
 せっかくだ。もう少し見て回ってから、散歩に戻るとしようか。