KARASU no ZAREGOTO

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Skyrim不動産案内番外編:Cliffside Home

 「廃墟と化した牢獄」。そういえば俺はそこに入ったことなかったな、なんて思ったのは、タリスさんの話を聞いてのことだ。
 場所については知っていた。ミックスウォーター工場なんかに程近い川辺に、半壊した石造りの建物がある。よく通る街道からだと、岩がちな川を渡らないと行けないせいで、ちょっと寄ってみようか、なんてふらっと行けるところじゃない。そのせいで俺も、見かけてはいながら入ってみたことはなかった。
 話に出たのがきっかけで、じゃあ俺も見てこよう、なんて思い立ったわけだが……。

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 俺が辿り着いたのは、つい最近までなかったはずの家だった。
 巨人の住処の脇をすり抜けて丘を登って行ったら、見晴らしのいいてっぺんに小さな家があったんだ。

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 脇には大きな井戸があり、薪割り台も設えられている。

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 玄関の前にはポーチになっていた。そしてテーブルの上に、用紙二枚ほどに渡って綴られた手紙があった。
 人様の手紙を勝手に見るのもどうかと思うが、こういう「こんなところになかったと思うんだが」みたいな家の場合は、元の家主から新しい住民へのメッセージってことも多い。あるいは、家主がいなくなってしまった事情を書きつけてあるかだ。
 この手紙は―――「君は私のことを知らないだろうが、私は君にずっと注目していた」と書かれていた。
 その「君」が俺のことかどうかは分からない。だがこの手紙の主は、余命幾ばくもないとなって、自分が気にして見ていた誰かさんにこの家を譲ることにしたらしい。

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 家の鍵は裏手のポーチに置いてある、と書かれていた。回りこんでみるとそこは鍛冶場で……ん? 作業台に、溶鉱炉、その脇に砥石はあるが……金床あるいは鍛造器具はどこだ? 溶鉱炉がない鍛冶場はあっても、肝心の、武具を作る鍛造ができないってのはめったにないんだが……。
 ちょっと変わった焚き火台みたいなのがあるのに、鍛造ができないってのはどういうことなんだろう?

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 ともあれ、鍵は作業台の脇で見つかった。
 鍛造・金床がないのは気になるが、この石で囲ったみたいな焚き火なんかを見るかぎり、家の中はなかなか面白そうだ。
 俺はさっそく入ってみることにした。

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 中はすっきりとシンプルだが、なめし台があるのはまだしも……

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 なんか面白い仕切りだなぁとか思ってたら、

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 ちょ……っ、屋内に鍛造器具!?
 俺はマジで目を剝いた。いや……こんなものすごい熱気出していそうなもの、普通は外に置かないか? 溶鉱炉は外にあるんだし、と思って俺は、そういえば丘の上のこの立地では、いくつもの大型設備を置けるような平面がないことに気がついた。それで、溶鉱炉よりはこっちのほうがマシだってことになったんだろうか……。
 まあ、地下に鍛造器具があるくらいは珍しくないし、中型くらいの家なら鍛冶場も込みの製作室があっても普通だし……木造の家で大丈夫なのかって気もするが、まあいいか。
 それにしても、鍛造器具を眺めながら飲む酒か。俺はちょっと遠慮したいなw

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 暖炉の横、小洒落た仕切りの向こうは寝床で、手前には付呪器具もある。この場所ならずいぶんあたたかそう……あ、そうか。スカイリムの寒さに慣れない南国の……いや、まあ、特定個人の顔が思い浮かんだのはなかったことにして、南のほうから来た人だったりすると、屋内の鍛造器具があれば、暖房が2つってことで、まんざら悪くないのかもしれないな。しかもこの場所なら、寒さとは無縁で寝られそうだ。

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 いおの逆サイドには錬金台もある。本棚も小さいものとはいえちゃんと置いてあるし、なかなか使い勝手が良さそうだ。
 ただ、家によっては薬瓶が並んでいる部分がそのまま収納になっていたりもするが、この家では普通に取ることができるし、どうやら勝手にまた出現することはない、のかな。それはそれで、自分で好きなように置き直したりもできるから、悪くない。……といっても、十分味のある内装だから、俺ならこのままでいい。
 こじんまりとして居心地も良さそうだし、内外に分散はしてると言っても、狭い範囲に基本的な設備が揃っていて使い勝手もなかなかだろう。収納が足りなければ自力で追加すればいい。
 鍛造器具のところにはマネキンも2体あったから、この規模の家としては十分以上だろう。
 これならきっとほしがる客がいるに違いない。
 誰宛に残されたものかは分からないが、まあ、たぶん、問題はないはずだ。
 さて、それじゃあ俺は予定通り、牢獄の探索にでも行くとしようか!