Before Rain

うすい作成シナリオ置き場。
何かあればこちらまで→
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CoC:無垢と愛情

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概要

幼女と仲良くするシナリオ。あまりクトゥルフっぽくはない。
少し不思議で幻想的な出来事に驚きつつ癒やされたい人向け。
情報量がそこそこあるので注意してください。KPのアドリブ力も必要かもしれません。

タイプ:クローズド
推奨人数:2~3人(1人でもできないことはない)
時間:(ロールプレイ次第ではあるが)オフセ:約1~2時間 オンセ:約7時間
ないと詰む:<目星>、<図書館>
なくてもなんとかなるけどあった方がいい:<英語>
あると便利:<生物学>、<信用>or<説得>
難易度:★☆☆☆☆ ロストなし

※独自解釈やオリジナル要素、ご都合主義を含みます。ご容赦ください。

あらすじ

ある日、探索者たちはいつも通り眠りにつくが、ふと見知らぬ部屋で目を覚ます。
目覚めた部屋を出て、廊下の先にいたのは幼い少女と青年。 少女は探索者たちにこうお願いをした。

「おかあさまを一緒に探して欲しいの」


以下KP向け情報


シナリオ背景

【アリシア・モーガン】は様々な手法を用いて18世紀から生きていた魔術師である。

彼女はふとある時その生き方に孤独を感じるようになった。気にしないように努めていたが、それは次第に大きくなって行き、ついに彼女は耐えられなくなった。そうして取った行動は魔術的方法で原ショゴスと自分の遺伝子情報から子どもを造ること。試行錯誤を繰り返し無事出来た女の子の名前は【ツヅリ】。

アリシアはツヅリを大変可愛がった。優しく、親思いな子どもになるように教育した。ツヅリはとても純粋で綺麗な心を持った子どもとして育った。しかしある日、アリシアはでかけ先で不慮の事故に巻き込まれ亡くなってしまう。

魔術師としての用心深さを持っていたアリシアは、ツヅリに自身の記憶から作り上げた意識体を埋め込んでいた。これはアリシアの死をトリガーに発動し、ツヅリの心の中で会えるようにする仕掛けである。これを施した理由としてはツヅリを一緒に「連れて行く」ため。アリシアには自分がいなくなった状態で原ショゴスで造ったツヅリを残しておくのも危険と判断する冷静さがあった。ところがどういうわけか、これが上手く発動しなかった。

アリシアが出かける度、眠りの呪文を施されていたツヅリは眠りながら長い間アリシアが帰ってこないことに寂しさを感じるようになった。それと同時に、自分の中にアリシアの気配を感じるようになる。そこで彼女は自分の心象世界を映した「夢」の世界を作ることでアリシアを探そうとする。

しかしどうしても1人では見つけることが出来ず、誰かに手伝ってもらおうと、夢を見ている人間を自身の夢へを引き込み始めた。数度それを繰り返したあと、【ヒプノス】がツヅリの存在を感知する。ヒプノスは「何を勝手なことをしているんだ」と初めは怒りで様子を見にきたものの、ツヅリに悪意がないこと、少し哀れに思ったこと、そして自分の暇つぶしにも使えそうだと判断し、ツヅリの側に化身を置くことにした。

そうしてヒプノスがツヅリの夢に干渉してしばらくたったのち、ついに探索者たちがツヅリの「おかあさま」探しを手伝ってもらうため、夢の世界へと招かれることになった。

NPC情報

ツヅリ
STR 10 CON 17 SIZ 7 INT 13 POW 12
DEX 9 APP 15 EDU 5 SAN 60 
<目星> 60 <図書館>45 など

見た目は10歳にも満たない幼女。明るい茶髪に金色の目をしている。一人称は「わたし」。このシナリオの舞台である世界は彼女の夢の世界である。

現実ではアリシアの魔術の影響で何年と眠り続けている状態。眠りながらも寂しさを感じ始めた彼女は、自分の中に「おかあさま」ことアリシアの気配を感じるようになったことからアリシアを求めて自分の心象世界を映した夢の世界を作り上げる。子どもの純粋さがあったからこそできたことである。

身体は原ショゴスでできているが、アリシアの愛情に影響され悪意を持ちあわせておらず、本当に人間の子どもとなんら変わらない言動をする。 遊び盛りで無邪気だが聞き分けの良いお利口さん。 ただし身に危険を感じると『原ショゴス』の部分が無意識に出て自己防衛をする。

名前の由来は「物語を綴る」の「綴(つづり)」。アリシアはツヅリを日本で造ったため、日本語の名前にした。

ルネ
STR 14 CON 21 SIZ 12 INT 19 POW 20 DEX 16 APP 18

ツヅリの側にいる黒髪でほりの深い美しい容姿の青年。
正体はヒプノスの化身。一人称は「私」。

人当たりはいいが飄々としていて掴みどころがない。 基本的にツヅリからの要望に応えるため、世話役のように見えるが実質は「そこにいるだけ」。ツヅリの監視兼暇つぶしでここにいるため、ツヅリの「おかあさま」探しにもあまり積極的ではないが邪魔もしない。その割に「おかあさま」探しに消極的な人間には冷たい。
ツヅリの夢の世界に勝手に干渉しているため、廊下のアレなど仕掛けの一部は探索者を試して困らせて楽しみたいコイツのせい。

 名前は「寝る」をひっくり返しただけ。

アリシア・モーガン
SIZ 11 APP 15

18世紀から生きていた魔術師。シナリオ開始時点では故人。日本には50年近く住んでいた。しかし あるときふと魔術師としての生き方に疲れてしまった哀れな女性。
癒やしを求め魔術的方法で原ショゴスを基盤にツヅリを造る。奇跡的にここまで正気を失わず耐え、しばらく2人で幸せな生活を送っていたが不幸にも列車事故に巻き込まれ死亡してしまう。

一応魔術師としての用心深さがあったためツヅリにはいろいろと施していた。しかしその仕掛けが上手く発動せず、無意識にアリシアの気配を感じ取ったツヅリが自分の心象世界を夢の中で形作りアリシアを探し始めることになる。

探索者達の協力のもと意識体が覚醒するといろいろ察してお礼と共に謝ってくれる。

導入

その日、探索者たちはいつもどおりの1日を終え、眠りについた。
しかし、ふといつもと違う寝心地に違和感を感じ目が覚める。
目が覚めるとそこは見知らぬ部屋で、服装はその日の日中着ていたものだった。

マップ

以下KP用マップ。隠し扉と隠し部屋がシナリオ的に重要なため、このマップをPLに見せることはおすすめしない。

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【はじめのへや】以外の部屋はアンティーク調のようなカントリー調のようなデザインとなっている。

はじめのへや

探索者たちは見覚えのない古いベッドの上で目を覚ます。

辺りを見渡すとコンクリートの部屋だということがわかる。壁にはところどころヒビが入っており、床の隙間からは草や花が育っていることから、自然と「廃墟」ということばを連想するだろう。窓からは太陽光が差し込み、草花を照らしている。無機質な灰色と鮮やかな草花の色のコントラストに、どこか幻想的とさえ感じる。

全く記憶にない場所で目が覚めたことで0/1d3のSANチェック。

ベッドは探索者の数だけある。 窓の外を覗いて見ても、光が差し込んでいるだけで外らしい外が見えない。真っ白い世界が広がっているように見える。(SANC 0/1)
  
コンクリートの部屋にしては異質な、木製の綺麗な扉がある。
扉には紙が貼られており、可愛らしい字で何か書かれている。

お目覚めかしらメリーさん。
さあさあこちらへいらっしゃい。
ここではみんながお友達。
いじわるな子は、さようなら!

これはツヅリやルネと親しくした方がいいこと、またこの空間に登場する他神話生物に攻撃してはならないということを示唆している。攻撃をするとツヅリからの好感度が下がる。
裏を見たいという用心深い探索者が居れば、<英語>を降らせる。裏には表の文字とは違った字で『平和主義で博愛主義』と書かれている。
ルネが適当に評価したツヅリの性格である。

廊下

扉を開けると白と黒のタイルがチェック柄に敷き詰められた廊下に出る。(マップ参照)
しかし扉から半径1mほどは扇形で灰色の床になっている。その扇形に沿うようになにか書かれている。読むには<英語>。以下の文章が書かれている。

white is empty, nothing there
black is sturdy, something here

白は空虚、何もない。
黒は頑丈、何かある。

これはいわばよく子どもが道を歩く時にやる「白はセーフ」だが、捻くれたヒプノスに寄り逆の「黒はセーフ」、になっている。安全に通るためには黒いタイルの上を歩かなかればならない。白いタイルの上に乗った場合、まるで落下する夢を見て、はっと起き上がったかのような感覚に襲われる。(SANC 1/1d3)

廊下に<目星>を振ると、白いタイルは確かにそこは床があるのはわかるが、「まるでそこに開けた空間」のような不思議な感覚。(SANC 0/1)
もし探索者が<英語>に失敗した場合、<目星>を振るよう誘導するといいだろう。

まんなかのへや

廊下を抜け、扉を開けると童話に出てくるようなアンティーク調の部屋に出る。その中央に椅子とテーブルがあり、椅子にはそれこそ童話の登場人物のような服装の女の子が座っていて、側に紳士のような佇まいの青年が立っている。ツヅリとルネである。ツヅリは探索者たちに気がつくと、「来てくれたのね!」とぱあっと笑顔を見せて駆け寄ってくる。

ツヅリは「わたしはツヅリ、あの人はルネ。貴方のお名前は?」と無邪気に聞いてくる。
以下、ツヅリとやりとりする際に考えうるQ&A。

Q.ここはどこ?
A.「わたしの世界よ」

Q.君がここに呼んだの?
A.「そうよ」

Q.ずっとここにいるの?
A.「違うわ、おかあさまに会いたくてここにいるの」

Q.ルネについて
A.「ずっと側に居てくれてるの。ひとりは寂しいから嬉しいわ」

Q.帰りたい
A.とても寂しそうな顔をして「どうして?」

一通り話すと、ツヅリは「おかあさまを探すのを手伝って欲しいの」と探索者たちにお願いしてくる。ここにいるはずなのにどうしても見つからなくて手伝いに人を呼んでいるらしい。ツヅリは直感で自分の意識の中に「おかあさま」ことアリシアがいることに気づいており、それを探すために心象世界を写し出した夢を作り上げている。ここで快く探す手伝いを了承すると好感度が上がる。渋ると下がる。

ルネに話しかける場合、「私のことは気にせず、あの子と好きに行動するといい」とにこりと答える。質問された場合は適当に受け流す。あまり探索者たちと話す気はなさそうである。 しつこく質問すると「ほら、早くあの子を手伝ってあげてくれ」と話を切り上げようとする。

その後ツヅリは探索者の後をついてくるが、ルネは基本的に【 まんなかのへや 】から動かない。

ツヅリへの好感度について

細かい数値は設定していないが、一応ツヅリから探索者たちへの好感度がある。
KPは優しくしてもらえたら上がる、冷たくされたら下がる、程度の認識で問題ない。また、ツヅリはこの空間にいる動物(神話的なのも含め)は全てお友達だと思っているため、攻撃すると悲しみ、好感度が下がる。

一応【 はじめのへや 】に警告があるが、KPからもやんわりツヅリとは仲良くしてあげるよう誘導するといいだろう。あまりないと思うが、あまりにも探索者たちが冷たかったかったり、態度に問題があった場合、怒りの感情で高ぶったツヅリから『原ショゴス』としての触肢を生やすなど探索者たちに「いじわるしないでよ!」と警告を与えてもよい。その際SANC 1/1d6。

仮にツヅリに攻撃をした場合、もしくは行動が改まらなかった場合ツヅリは「もういいわ!」と叫び夢の世界から追い出すだろう。

【ED2】へ。

時間経過イベントについて

ツヅリの「おかあさま」を探すことになったあと、【 キッチン 】以外の1つ部屋(【 おにわ 】含む)を探索して【 まんなかのへや 】に戻ってくるとルネが紅茶を淹れており、「如何かな」と探索者たちにも勧めてくる。

これは飲む方が良い。この紅茶には「異形を目にしなくて済む」という効果が加えられており、このイベント後【 まんなかのへや 】から移動し再び真ん中の部屋に戻ってくると出現する【夢のクリスタライザーの守護者】を目にすることがなくなり、SANチェック回避となる。

このとき出現する【 夢のクリスタライザーの守護者 】はルネが探索者を驚かすために出現するよう施したギミックの1つ。ただふよふよと浮かんでいるだけ。
紅茶を飲まず見てしまった場合はSANC 0/1d6。

ルネは怪しいと思った相手から勧められた飲食物を口にしたがらない人間が多い、というのを理解した上で敢えて飲んだ方が良い効果をもたらすものを出してきている。要するに「クトゥルフで飲食物はヤバイ」を逆手に取ってあるだけ。素直に紅茶を飲むと<目星>成功でルネが一瞬つまらなそうな顔をするのを目撃する。

一応【 はじめのへや 】に貼ってあった「みんなお友達」=厚意(?)で用意されたものは快く受け取っておこうということでもある。

ほんのへや

まんなかの部屋の廊下から入って左側に書斎がある。さほど広くはなく、ツヅリがこれまでに読んできた数多の本が並べられている。ほとんどが絵本や児童図書。<図書館>、もしくは<目星>で、すこし飛び出た状態で本棚にしまわれた本を3冊見つける。

★『星座の本』

88の星座について書かれた子供向けの星座辞典。日本語で季節ごとに分類されている。その春の星座セクションにしおりが挟まれている。

【かみのけ座】
古代エジプトのベレニケ王妃の髪の毛の星座です。 ベレニケ王妃は夫であるプトレマイオス3世が戦場から無事に戻ってきたら自分の髪の毛を愛と美の女神アフロディーテに捧げると誓いました。そして夫が無事に戻ってきたので王妃が女神の神殿に髪の毛を捧げたところ、女神がそれを気に入り空に飾って星座にした、と言われています。 明るい星を結んで形作る他の星座と違い、たくさんの星が集まった星団を髪の毛に見立てている珍しい星座でもあります。

【からす座】
かつて太陽神アポロンの使いであったカラスの星座です。 このカラスは美しい銀色の羽をもっていましたが、アポロンに嘘をついたことでアポロンの怒りを買い、羽を黒く染められ空に貼り付けられ、星座になったと言われています。 小さな台形をしていることから、日本では「四つ星」、「帆かけ星」とも呼ばれていたこともあります。

【こぐま座】
おおぐま座のクマと親子にあたる子グマの星座です。 尻尾の先にあたる星はポラリスという名の北極星です。北極星とは地球上から見るとほどんど動いていないように見える北の星のことを言います。 アメリカでは、おおぐま座とこぐま座それぞれ、星座を形作る星々を繋いだ形が「ヒシャク」に見えることから「The small dipper(小さいヒシャク)」とも呼ばれています。


ここで必要な情報は【 こぐま座 】。

★『花の本』

花の写真と花言葉について日本語で書かれた本。花言葉の意味ごとに分類されている。あるページに付箋が貼られている。

『切ない・悲しい意味の花言葉を持つ花の例として、以下のものがあります。』

・アネモネ 「はかない恋」「見捨てられた」
・ヒガンバナ 「悲しい思い出」「思うは貴方1人」
・ワスレナグサ 「真実の愛」「私を忘れないで」
・リンドウ 「悲しんでいる時の貴方が好き」「貴方の悲しみに寄り添う」
・キンセンカ 「別れの悲しみ」「寂しさ」

ここで必要な情報は【 ワスレナグサ 】。

★『Tommy Thumb’s Pretty Song Book(トミー・サムの可愛い唄の本)』

英語で書かれた古い詩集。読むためには<英語>が必要。もしくはツヅリに意味を聞くのも可能。栞が挟まれたページがある。 (以下は『マザーグース』の中でも有名な詩。『クック・ロビン』とも呼ばれているが不穏感出すためこちらのタイトルを採用。wikiを参考にしつつ勝手に意訳している。)

【コマドリのお葬式】

「誰がコマドリを殺したの?」「私です」とスズメが言った
「私の弓と 私の矢羽で 私がコマドリを殺したの」

「彼が死ぬのを見たのは誰?」「私です」とハエが言った
「私の小さな目で 私は彼が死ぬを見た」

「彼の血を受け止めたのは誰?」「私です」と魚が言った
「私の小さなお皿で 私は彼の血を受け止めた」

「誰が死に装束を作るの?」「私です」とカブトムシが言った
「私の糸と私の針で 私が死に装束を作ります」

「誰が墓穴を掘るの?」「私です」とフクロウが言った
「私のつるはしと私のシャベルで 私が彼のお墓を掘りましょう」

「誰が牧師になるの?」「私です」とミヤマガラスが言った
「私の小さな聖書で 私が牧師を務めましょう」

「誰が書記を務めるの?」「私です」とヒバリが言った
「あたりが暗くないのであれば 私が書記を務めましょう」

「誰が松明を運ぶの?」「私です」とヒワが言った
「今すぐに取りに行って 私が松明を運びます」

「誰が喪主に立つの?」「私です」とハトが言った
「愛する人のために 嘆く私が 喪主に立ちましょう」

「誰が棺を担ぐの?」「私です」とトビが言った
「夜を通して 担がないのであれば 私が棺を担ぎましょう」

「誰が賛美歌を歌うの?」「私です」とツグミが言った
「藪の木々に座りながら 私が賛美歌を歌いましょう」

「誰が鐘を鳴らすの?」「私です」と牡牛が言った
「私には引ける力があるから 私が鐘を鳴らしましょう」

哀れなコマドリの 弔いの鐘をきいて
全ての鳥が ため息をつきながら
すすり泣きながら 空から舞い降りた

ここで必要な情報は【 ハト 】。

キッチン

シンク、冷蔵庫、棚、ダイニングテーブルなどがあるオーソドックスなキッチン。
壁にはカレンダーが掛けてあり、奥には【おにわ】へ続く扉がある。
調べられる箇所は【 冷蔵庫 】【 棚 】【 カレンダー 】

【 カレンダー 】に<目星>を振ると2つの日付に印がつけられているのがわかる。【1月27日】と【3月13日】である。
ツヅリにカレンダーの日付について質問すれば何の日だか答えてくれる。前者がアリシアの誕生日、後者がツヅリの誕生日である。

【 冷蔵庫 】を調べると空っぽなのがわかる。また、【棚】を調べても食料品らしものが一切ない。もしルネが紅茶を用意したあとにこの部屋を探索した場合、探索者たちに<アイデア>を振らせ、「いったいルネはどこから紅茶を用意したのか?」というのを不思議に感じさせると良い。(SANC 0/1)

【 棚 】には小さい金庫のようなものがある。3桁の数字を入れるダイヤル式。 
ダイヤルの上部には『child』と書かれている。<英語>で『子ども』だとわかる。(リアルアイディアでわかれば振らせなくてもよい。)
【 カレンダー 】に記されたツヅリの誕生日を入れると開く。中には【お庭】で【星の精】に襲われないための【魔法の粉】が入っている。しかし、開けた瞬間蜘蛛やハエが一気に飛び出す幻覚を見る(SANC 0/1d3)。無論、ルネの悪戯である。

【 おにわ 】へ続く扉の横には紙が貼られていて、以下の注意書きがなされている。
 読むには<英語>。もしくはツヅリに読んでもらう。

猫に兎に小鳥にライオン、
ほかにもいろいろたくさん。
庭にはなんだっている。
とりわけ問題は妖精さん。
悪戯好きで困ったもの。
庭に入るなら見つからないよう、
魔法の粉を身につけて。

妖精さんはルネが探索者を脅かす為だけに 喚び出した【 星の精 】のこと。【 魔法の粉 】を身体にかけずに庭に出ると襲われるので注意。詳しくは次の項目にて。 ツヅリにも粉をかけてあげようとすると、「わたしには粉はいらないってルネが」と断る。
この粉は一度かければ効果は持続する。

おにわ

キッチンの奥の扉を出ると庭に出る。西洋の広い庭のイメージ。芝生や藪、木々が生えている。何より異質なのは様々な鳥や動物が当然のようにいること。

ここへ【 魔法の粉 】をかけず入った場合、<聞き耳>を振らせる。成功するとどこからか「クスクス……」という笑い声が聞こえる。探索者の成功の有無に関わらずツヅリは「妖精さんの笑い声だわ」と言うだろう。悪戯されるかもしれないから気をつけてね、と警告もさせておく。
その後探索者達が戻ろうとしないのであれば、シークレットダイスで対象を決め、鉤爪攻撃をさせる。外しても探索者が行動する度に<聞き耳>を振らせ、という風に繰り返す。攻撃が当たったら戦闘ラウンド。当然見えないので探索者たちが不利。ツヅリは「逃げて!」と言うし、逃げる、と宣言すればDEX対抗なしに逃げられる。

-星の精(不可視の吸血鬼)
STR 20 CON 12 SIZ 20 INT 11 POW 15 DEX 11
耐久力 20 装甲 2 DB +1d6
<鉤爪> 40 ダメージ1d6+DB
<噛みつき> 80 ダメージ(吸血) 1ラウンドにつき1d6のSTR

少し弱体化されているので無茶をしなければ死ぬということはないだろう。

【 魔法の粉 】をかけてから入った場合、ツヅリはすぐに駆け出し動物たちと触れ合い始める。その間シークレットダイスで探索者を選び、その1人の探索者の肩に1羽の鳥がとまる。その鳥が肩に触れた瞬間、ぽんっという音と共にビー玉ほどのガラス玉に変化する。そのガラス玉を見れば先ほどの鳥が中に描かれており、<生物学>を振ればそれは【 コマドリ 】であるとわかる。

これはここにいる動物に触れればガラス玉に変化するというヒントである。探す必要があるのは【 子グマ 】と【 ハト 】。探したい動物/鳥を宣言してもらって<目星>を振ればすぐに見つかるだろう。
子グマは親クマと一緒に、ハトは水飲み場にいる。
ここの動物や鳥は人間慣れ(?)しているので逃げるということはしない。

ツヅリはこれまで人間が触れるとガラスたまになるのを見てきているため、特に何も言わない。どういうことなのか訊いてみても、「わからないけどここに来た人が触るとガラス玉になっちゃうのよ、不思議だわ」と言う。

※ここで手に入るガラス玉と、次項の【 つづりのへや 】でみつかるガラス玉はキーアイテムである。

つづりのへや

可愛らしい壁紙で飾られた女の子らしいお部屋。ベッドや机、棚がある。
<目星>を振ることができるのは【 部屋全体 】【 机 】【 棚 】

【 部屋全体 】に<目星>を振ると不自然に何も側に置かれていない、飾られていない壁がある。

そのことをツヅリに指摘すると「確かにふしぎね…?今まで考えたことなかったわ」と答える。これはアリシアが死ぬまで「必要がない」箇所であるため、ツヅリの意識が向けられないようになっているためである。

注視するとそこの壁紙は度々蜃気楼のように歪んで見えることがわかる。触れるとまるで泡が弾けるように壁が消え、代わりに木製の扉が現れる。突然目の前に扉が現れたことでSANC 0/1。 この木製の扉もツヅリには見えていない。ツヅリが認識できるようになるのは開いてから。

この扉については後術の【隠し扉】にて。

【 棚 】に<目星>を振ると棚の冗談にガラス製のボウルにいくつかビー玉のようなガラス球が飾られているのがわかる。それらのビー玉の中は立体的に花が描かれている。花の種類はそれぞれ違い、【 ほんのへや 】で『花の本』を見つけていればどれが何かわかる。もしくは<生物学>。アネモネ、ヒガンバナ、ワスレナグサ、リンドウ、キンセンカなどなど。 ここで必要なのは【 ワスレナグサのガラス玉 】である。

【 机 】は<目星>に成功すると日記を見つける。しかしツヅリが「日記も見るの?」と少し恥ずかしそうに訊いてくる。理由を訊けば日記などがあり、あまり見られたくないからと答える。言葉通り純粋に赤裸々に綴った日記を見られるのが恥ずかしいという理由。
この日記は現実世界で書いていたものがそのままこちらでも反映され、その続きをこの夢の世界でも書き続けたもの。

この時、「おかあさまを探すのに役立つかもしれない」等伝えればアリシアがいなくなる少し前と、いなくなってからここに至るまでの時期の日記を見せてくれる。 KPがツヅリからの好感度が高いと判断した探索者がお願いした場合はロールなし、それ以外は<説得>か<信用>に成功しなければならない。<言いくるめ>、もしくは無理やり読む、という行為は嫌われるので注意。

中身は

「おかあさまが何処かへお出かけすることになった、おみやげが楽しみ」
「ずっと眠っていて、夢を見続けた。あるときふとおかあさまを感じた。だからわたしの世界を作ってみた。上手く行った。きっとおかあさまはここのどこかにいるはず」

といった内容。日記には写真も挟まれている。ツヅリと優しそうに微笑む30代くらいの綺麗な女性が写っている。アリシアである。

【 隠し扉 】 鍵がかかっているが、鍵穴が見当たらない。その代わり真ん中に丸い窪みが3つある。その丸い窪みの上に金属でできた板が打ち付けてあり、詩のようなものが書かれている。

『私はここに居るわ』 
北のヒシャクのもと
愛する人のために嘆く
私をどうか忘れないで

これは丸い窪みにハメるべきガラス玉の種類を表している。
北のヒシャク→【 子グマのガラス玉 】
愛する人のために嘆く→【 ハトのガラス玉 】
私を忘れないで→【 ワスレナグサのガラス玉 】

3つともハメるとカチャ、という鍵が開く音がして扉が開くようになる。
その先に【 隠し部屋 】がある

隠し部屋

奥の扉を開けると、狭い部屋に出る。
木材で創られたような部屋は、中央に小さなテーブルと、その上に一冊分厚いの本が乗っかっているだけである。

本のタイトルは『Alicia Morgan』。中身を見ると英語の細かい字で書かれている。
アリシアの記憶を凝縮した本である。<英語>で読むことは可能だがアリシアの魔術師としての記憶が大半なのでやんわりと読むことは阻止してあげよう。

この本を見つけると、ツヅリは「見せて!」と今までにない勢いでせがんでくる。
本を渡してあげるとタイトルを見て「アリシア・モーガン……これ、お母様の名前だわ」と呟くだろう。
【ED1】へ。

ED1「めでたし、めでたし」

正エンド。
ツヅリが本のタイトルを読み上げると、本は光り出し、目を開けていられない程の明るさで部屋を照らす。もう大丈夫かと目を開ければツヅリの手から本が消えた代わりに、目の前に女性が立っている。アリシアである。彼女は部屋を見渡し、ツヅリを見て、探索者たちを見ると状況を理解したのか「ああ、上手く行かなかったのかしら」と言う。

ツヅリはアリシアに抱きつき、アリシアはツヅリを撫でる。
ツヅリは探すのを手伝ってもらった、と探索者たちを紹介する。アリシアは探索者たちにお礼をし、ご迷惑をおかけしました、と謝る。そしてツヅリへ「さあ、行きましょう」と言うと、2人はふわりと消える。最後にツヅリは探索者へ「ありがとう、さようなら」と手を振るだろう。

親子が消えると、部屋にルネがやってくる。彼は「ああ、終わってしまったか。まあ、この暇つぶしにもそろそろ飽きてきた頃だったし、ちょうどいいか」と言う。「さあ、そろそろお前たちも起きる時間だろう」とルネが腕を上げた瞬間、探索者達の視界は暗転する。この時、<聞き耳>を振らせ、成功した探索者達には「でも、あの子と過ごした時間は悪くなかったな」という呟きが聞こえる。

意識が浮上すると、探索者たちは見慣れた自室で目を覚ます。何か夢を見ていた気がするが、小さな少女が出てきたということ以外記憶が朧げだ。しかし、なんだか暖かくて楽しい夢だったと思うだろう。

この時、KPがツヅリからの好感度が高かったと判断した探索者は、手にアーティファクト、【 ワスレナグサのガラス玉 】を握っている。
それを眺めていると、どこか心が安らぐ気がした。

ED2「誰も幸せになれませんでした」

所謂バッドエンド。

ツヅリからの好感度が下がりきりったりツヅリに攻撃したりすると夢の世界から追い出される。その後面白がったルネから悪夢を送られ更にSANC 1/1d4。

最悪の目覚めでいつもと変わらない自室で目が覚めるだろう。

クリア報酬

・SAN回復
ED1でシナリオクリア +1d6
ED1でクリア且つクリーチャーを見ずにクリア +1d3

・アーティファクト
ワスレナグサのガラス玉 所持時にPOW+1の効果

あとがき

実は人ではない、という設定の子どもと仲良くするハートフルストーリーが作りたいなと思ったのがきっかけで作成したシナリオです。あまり人外要素発揮できていませんが…!
ツヅリのモデルは某聖杯戦争の本の女の子です。好きなんですあの子…

ちなみに最初の部屋が廃墟なのは、そこがアリシアがツヅリを作った場所だからです。また、英語で書かれている詩もどきと日本語で書かれている詩もどきがありましたが、英語で書かれているものがヒプノスが用意したものです。ツヅリは英語も出来る?なら英語で用意しようというノリ。

シナリオの使用、リプレイの作成などご自由に。
プレイしやすいように改変していただいて構いません。NPCの性別を変えるなどもアリです。ただ自作発言、シナリオの二次配布はご遠慮ください。
リプレイ作成時はどこかにタイトルと私の名前をどこかに記載していただけると嬉しいです。報告は任意でどうぞ!

  • 29 May 2016
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