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リクルートの昔の社訓に「機会によって自らを変えよ」という一節があります。私が大好きな言葉の一つです。結婚や出産は、いやでも変わらないといけません。自分が、責任感ある慎みのある大人でありたいと願う限りは。それは、自分の人生、ライフを作り変えることに他ならないことであって、独身からみれば、つまらないことに従属する自分の死に支度を整えることでもあります。大事なものが自分だけの人生から、家族の生活に変わったとき、それを受け止める人の気持ちはさまざまなんだろうと思います。
だからこそ、私はお酒をほとんどやめました。別にアルコール依存というわけではないんですが、ビールの代わりに水を飲む生活は文化的な潤いをまったく感じません。ちょっぴり辛いです。それでも、20年以上続いた習慣をパッと止める、そして止められたきっかけは、家内と、子供たちと、これから40年以上一緒に人生を歩んでいきたいからです。その場の快楽を求めて酒を飲み続けて近い将来に具合が悪くなるよりは、思い立ったその場で酒をやめて後で後悔しない選択をしたほうが良い。私は私で持病がありますから。別に何の記念日もなく、何となく酒をやめていまにいたります。
自分だけの人生ではないと悟ったとき、この身に訪れる老いも欲求も、すべてが形を変えたと思います。やっぱり、独身のころは老いるのは嫌であったし、老いたら死んで良い、だから思い切ってやりたいことをやり、楽しいことを突き詰めようと考えました。ただ、共に暮らす人があると、その老いと付き合い、ゆっくりと坂道を降りていくのも人生であると気づくわけです。
"— 結婚のデメリットをはあちゅう女史は語り、私はデメリットを愛して生きる(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース